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台風・豪雨の季節は間近 ARで自宅や街の浸水被害を疑似体験

銀座4丁目付近の浸水をシミュレーションした画面

 暑い8月が過ぎると、また豪雨や洪水被害が心配な台風の季節がやってくる。近年、台風による降水量は、これまでの経験値から計り知れないものがあり「まさかここで洪水なんて」という思い込みが覆されるような災害が発生している。

 自宅や、最寄り駅、勤務場所の周辺が浸水被害にあったら、街の風景はどのように一変するのか。そうした非常事態の様子をARで疑似体験できるアプリが公開された。株式会社ウェザーニューズ(千葉市美浜区)は、au向け「ウェザーニュース」アプリをバージョンアップし公開をはじめた「AR浸水シミュレータ」だ。

浅草雷門付近の浸水をシミュレーションした画面
浅草雷門付近の浸水をシミュレーションした画面

 このアプリは、神奈川歯科大学歯学部の板宮朋基教授が開発した「Disaster Scope®」の技術を活用している。スマートフォンのカメラ機能を使用し、目前の風景が浸水した状況を見ることができる。浸水の深さも10cm単位で設定が可能で、50cmになった場合や1mになった場合、今見ている景色のどこまでが水没してしまうのかを画面上で擬似的に確認することができる。水流や水の色も指定することができるので、浸水の状況をよりリアルに体験することができるようになっている。

 また、利用者の位置情報からその場所でのシミュレーションも可能だ。位置情報と国土交通省が発表している洪水浸水想定区域データとを照らし合わせ、想定されている浸水の深さにあわせた状況を画面上に表示することができる。例えば、銀座4丁目交差点周辺で50cm、浅草雷門のあたりでは1mの浸水が想定されており、これらの想定を、実際の景色に重ねて見ることができる。

 国土交通省が公表している資料によると50cm(大人の膝程度)の水深があるエリアでは、車両は浮き上がってしまい走行が出来なくなる可能性がある。さらに、その場所で0.7m/sほどの流れがあると、歩行さえも困難になるという。見慣れた街のどこがどの程度の浸水被害を受けるのか、あらかじめ映像でリアルに体験しておくことは、非常時の避難行動に役に立つはずだ。また、自宅内でも浸水の被害があった際の被害状況が“目に見えてわかる”ので、予め家財を高い場所へ移しておくなどといったことにも役に立つだろう。

 今のところこのアプリはAndroidのみ対応となっており、利用するのにはGoogleのAR Core対応端末及びauMarket版「ウェザーニュース」アプリに加えて「AR浸水シミュレータ」アプリの両方インストールが必要となっている。今後、対応端末や他キャリアにも広く展開していく予定だ。

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