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中国の月探査機「嫦娥6号」が成し遂げた月の裏でのミッションとは

嫦娥6号の「移動カメラ」が撮影した着陸機と上昇機ユニット(提供写真)。(c)CNS

嫦娥6号の「移動カメラ」が撮影した着陸機と上昇機ユニット(提供写真)。(c)CNS

【CNS】中国国家航天局(CNSA)の発表によると、北京時間4日、月面探査機「嫦娥6号(Chang’e-6)」は、月の裏側から採取した岩石や土壌のサンプルを携え、月面を離れ、予定の周回軌道に入ることに成功した。人類が月の裏側からサンプルを採取したのは今回が初めてだ。

 月は自転と同じ周期で地球の周りを公転しているため、月の片面(裏側)は常に地球に背を向けている。月の裏側はクレーターだらけで、通信や探査機の着陸には困難が伴う。「嫦娥6号」の着陸機と上昇機の合体ユニットは今月2日、中継衛星「鵲橋2号(Queqiao-2)」の支援を受け、月の裏側にある「南極エイトケン盆地(South Pole-Aitken Basin)」の予め計画された地点への着陸に成功した。

 着陸から2日間で、「嫦娥6号」は月面でのインテリジェント・サンプリングに成功し、貴重なサンプルを所定の方式で上昇機が持つ貯蔵装置に無事保存した。「インテリジェント・サンプリング」は、嫦娥6号ミッションの核心と言うべき最重要のプロセスだ。探査機は月の裏側の高温に耐え、ドリルツールとロボットアームの両方を使って、土壌と岩石のサンプルを採取した。併せて着陸地点の調査と分析も行った。「嫦娥6号」は約2キロのサンプルを地球に持ち帰る予定である。

 サンプル採取の後、着陸機が携帯した中国の国旗「五星紅旗」も、無事月の裏側に掲げられた。中国が月の裏側に国旗を掲げたのは今回が初めてだ。この旗は、新型の複合素材を使用し、特殊なプロセスで製作されたものである。

 また、嫦娥6号の着陸機には、欧州宇宙機関(ESA)の「マイナスイオン分析器」、フランスの「ラドンガス検出器」、イタリアの「レーザー角度反射器」など海外から有償で委託された器機も搭載されていた。これらの器機は月の裏側で正常に作動し、科学測定任務を遂行したことが報告されている。「嫦娥6号」探査機は「軌道周回機」「帰還モジュール」「着陸機」「上昇機」の四つのコンポーネントで構成され、着陸カメラ、全景カメラ、鉱物スペクトル分析器、月土壌構造測定儀などが搭載されていた。「嫦娥6号」は5月3日に打ち上げられ、月への旅をスタートさせた。月面近くまで到達した後、速度を制御し、「着陸機・上昇機ユニット」と「軌道周回機・帰還モジュールユニット」とを分離した。

 そして今月4日、無事サンプル採取を終えた上昇機は月面から離陸し、予定されていた周回軌道に入ることに成功した。

 その後のプロセスは、周回軌道上で待機している「軌道周回機・帰還モジュールユニット」とドッキングし、月のサンプルを帰還モジュールに移す。

 そして「軌道周回機・帰還モジュールユニット」は月周回軌道で飛行を続け、地球に帰還する適切な時期を待つ。「帰還モジュール」は最終的に、中国・内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)の「四子王旗(Siziwangqi)着陸場」に着陸する予定だ。

「嫦娥6号は、科学的に貴重な月のサンプルを地球に持ち帰って分析するという重要な一歩を踏み出した。月の表側と裏側とでは火山活動が対称的では無く、特異な景観が見られるが、その原因はまだ明確になっておらず、さまざまな仮説が出されている。嫦娥6号が採取した月の裏側のサンプルには、火山活動による物質が含まれていると思われ、このサンプルの年代と組成を調べれば、月の裏側の火山活動に関する詳しい情報が得られると期待できる」、米国の宇宙関連のニュースサイトは「嫦娥6号」のミッションをこのように高く評価している。【翻訳編集】CNS/AFPBB News|使用条件