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【独占インタビュー:Adam Back】 ブロックチェーンが変えてゆく未来(後編)

今回は、ビットコインの重要技術である「Proof of Work (以下、PoW)」を発明した、Adam Back氏にブロックチェーン技術の可能性、応用事例、そして課題について語ってもらった。
Adam Back氏は、ビットコインの重要なプロセスであるPoWで使われるアルゴリズム「Hashcash」を1997年に考案し、暗号通貨の発展に大きな貢献をした。現在は、Blockstream社の社長 兼 共同創業者として、ブロックチェーン関連サービスの開発を促進するためのオープンプラットフォーム技術「サイドチェーン」開発をリードしている。
ブロックチェーンが消費者の生活スタイルをどのように変えていくか、その可能性について語っていただいた前編に引き続き、後編もご覧ください。

【独占インタビュー】ビットコインの重要技術「Proof of Work」の父、Adam Back氏

DG Lab Haus編集部(以下、DLH):ブロックチェーン技術に関して、現在直面している困難はありますか?

Adam Back氏(以下、Adam):ブロックチェーンは比較的新しいテクノロジーなのでまだ可能性を探っている段階です。新しい技術が社会でどのように役立つのかについて異なるビジョンが混在している時、その新しい技術でどんなことが可能になるのかを発見するには少し時間がかかります。例えて言うならば、かつて人々はソーシャルメディアやオンラインゲームなどを予測していませんでした。

興味深い可能性の一つとして考えているのは、金融のネットワークがオープンになり、マイクロペイメントや今まで金融サービスを受けることが難しかった新興マーケットで金融サービスを行うことができるようになれば、より多くのスタートアップや開発者が、金融サービスやマーケットにフィットしたアプリケーションを提供し始めることできます。このようなエコシステムが金融のプラットフォームを革新することができるのかに注目しています。

ブロックチェーンの不確実要素という意味では、プログラム可能な信頼(プログラマブル・トラスト)という技術について、注意すべきことがあります。プログラマブル・トラストは、第三者機関による信頼によってではなく、自律的なネットワークによって正しい取引を自動的に管理します。しかし、この自動化によって発生する問題として、セキュリティに非常に高く依存してしまうことが挙げられます。

私は、ブロックチェーンがセキュリティ対策のレベルを押し上げると思います。ハードウェア・セキュリティ・トークンやスマートカードのフォームファクタ(例えばディスプレイや決済を完了させるためのボタンなど)を提供している会社は現在たくさんありますが、それらの会社はセキュリティも提供しています。それらのシステムはインターネットから切り離されているため、認証を行うデバイスとスマホやPCのように脆弱性のあるデバイスの間にセキュリティ上の切れ目があります。金融決済や小口決済を行うためのブロックチェーンのインフラには、このようなとてもレベルの高いセキュリティが必要となります。セキュリティに対する研究や投資資金がもっと集まることで、セキュリティの最先端技術が前進する余地があると考えています。

DLH:ビジネスパートナーとして、デジタルガレージに何を期待しますか?

Adam:ポイント交換システムについて、デジタルガレージと共同で取組むことにワクワクしていますし、ブロックチェーンのシステム上で様々なポイントが交換される様子を見ていくことは、とても楽しみです。ブロックチェーンを使って、様々なポイントサービスの間で決済が行われたり、しっかりと保証された方法で新しい市場を創っていく活動を観察したり、エンドユーザーにオープンなネットワークを保証したりすることができます。

そして将来的には、小さい会社や個人の開発者が、もっと自由な方法でブロックチェーンのプラットフォームを革新していくところを見ていきたいです。現状では、新しいアプリケーションや支払手段を始めようとすると、開発キットを入手する数ヶ月前からポイント提供者と契約交渉をしなければならず、とても手間がかかります。ブロックチェーンを使ったこのモデルにおいては、ポイントサービスを使うユーザーにとって面白いアプリケーションや、イノベーションの数々を見ることができるでしょう。

Profile

Adam Back

Blockstream Corp. 社長 兼 共同創業者

アダム・バック氏は1995年以来、電子決済プロトコルの先進的暗号作成に携わっており、ビットコインに用いられる「hashcash proof-of-work」及び「分散型マイニング方式」の発明者でもある。また、Credlibを実装した開発者であり、ノキア社、クレデンティカ社(後にマイクロソフトが買収)の電子決済顧問を経験している。
また、同氏はゼロノレッジシステム社にてTorの前身であるフリーダムネットワークの開発を行ったアーキテクト、暗号研究者でもある。加えてoneID社、Vmware社、QWcap社など大手セキュリティー会社の技術顧問を経験しており、最近ではPicorp社を共同創業、顧客管理部門DechoのCSOを務め、EMCによって買収された。
エグゼター大学分散システムとコンピューターサイエンス博士課程を修了。

関連リンク

Blockstream
Twitter: Adam Back

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