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【スペシャル対談・後編】林郁 × 伊藤穰一 2人のリーダーが考える2020年 VR/AR&セキュリティ&バイオ

デジタルガレージを共に創業した林郁(デジタルガレージ 代表取締役 兼 社長執行役員グループCEO、以下、林)と伊藤穰一(MITメディアラボ所長、以下、Joi)が、対談を行った。

テーマは、DG Labが重点領域とする5分野、「ブロックチェーン」、「AI」、「VR/AR」、「セキュリティ」、「バイオ」が2020年に向けてどのような進化をしていくか。

ブロックチェーン、AIについて語った前編に引き続き、後編では、VR/AR、セキュリティ、バイオについて、さらには伊藤穰一がホワイトハウスでオバマ前大統領(インタビュー収録時、現職)と行った対談の舞台裏も紹介。

VR/ARについて

Joi:VRはもう昔からね、最初会った頃流行ってたじゃん。多分3回目ぐらいなんだけど、VRも含めてディスプレイとかも安くなってインターフェイスが世の中変わってきてVRが本当に今回どこまでいくかっていうのはやってみないとわからないと思うんだけども、何を今みんな気にしているかっていうとインターネットみたいにスタック、例えば通信網とコンテンツレイヤーと配給とハードってなるのか、縦に、僕もソニーの役員をやっているけども、ソニーみたいにプラットホームから何からコンテンツ持つのか、まだどうなるのか分からないのとAR、ホロレンズってマイクロソフトの使っているんだけど、ああやってリアルワールドと混ざっているやつの方が使いやすいのかちょっとやってみないと分からないのがたくさんあって。

林:個人的に興味があるのは、ポケモンGOが4Gであそこまで成立しているわけじゃん。例えば5Gになっちゃったら通信速度200でキャパが1000倍になるでしょ。だからVRよりもARっぽいやつの方が人間の体験としては面白いことが起きるんじゃないかとか思っているんだけど、5Gになった時のイメージって何かある?
Joi:ARはそういう意味でいろんなアプリケーションが絶対でてくると思うんだよね。VRって全然違う世界かもしれない。だからゲームなんかはVRの中に入っちゃっていったほうが面白いコンソールゲームが沢山出てくると思うし、コンテンツ、映画みたいなのが出てくると思うんだけども日常的なARっていうのは結構普及してくると思うしディスプレイもすごく安くなってきてるし、だから5Gに成ると全然全部できちゃうかな。

セキュリティ/バイオについて

Joi:セキュリティはすごい腐っているんだよね。IoTになるとすごく危険でセキュリティの問題は結局、僕はよくネズミ捕り屋さん現象っていってネズミ捕り屋さんはネズミがいなくなると仕事がなくなる。セキュリティ会社っていうのはセキュリティを完璧にすると仕事がなくなってしまうっていうのが一個と、ものすごいお金をした設備投資が結構入れ替えないとセキュリティが良くならないから、今の既存の会社って中々本気でセキュリティを直すのってできなくて、そうするとうちのMITみたいにあまり利害関係がない人たちが本当はやらなければいけなくて、これからメディアラボでもその研究を始めようと思っているんだけど、アメリカの政府とかもやっぱり入りたいんであんまり強くする応援はしないんだよね。

林:モバイルのセキュリティまで完全にセキュアになったら誰も商売なくなっちゃうって話もないの。

Joi:だから変な話セキュリティ会社がやんなくなった方が嬉しい。違うところを見ればいんで、今は国からすると歴史でこれ以上情報を持っていた時代ってないわけだから全部なくても、彼らに言うと怒るんだけど無くても取り締まりはできるんで、結局銀行とかみんなひっくり返ってしまって例えば預金とかがデジタルキャッシュになっちゃうと口座がなくなってビジネスモデル変わっちゃうんで、あとは監査も基本的に要らなくなっちゃう可能性があるんだよね。だから一番よく知っている人たちが一番なってほしい。インターネット自体も同じだったよね。途中で電話会社もインターネットやったし、広告代理店もインターネット広告やったけど最初は嫌がってたよね。

林:ここ20年のインターネットの歴史の中で起きたことがここ4、5年でいっぺんに起こるじゃん。

Joi:これ全部繋がってるんだよね、最後バイオの話なんだけどバイオも結局コンピュータを使っているし、人工知能も使うし全部融合してきてお互い繋がっていくんだよね。インターネットは最初のレイヤーだけだったんだけど、どんどん違うレイヤーにきて今回チャンスかなって思うのは追加コスト無しでスケールできる会社しか投資してきてないんだよね、基本的には。AirbnbとかUberとかFacebookとか、でもそれって世の中の15%だとすると残りの85%、バイオだったり、銀行と組まなきゃいけなかったり、政府と話さなきゃいけなかったり、この辺ってシリコンバレーまだやってきてないんだよね。そこはボストンも強いし、日本にも残っているし結構まだ残っているものがたくさんあって。

林:だからO to O的な世界だよね。面倒くさい方というかインフラに近い方。

Joi:だからおいしいとこはもう結構とっちゃってる。でもこれも結構大事で。

林:次世代の人はむしろこっちの方(インフラに近い方)が重要かもしれない。

Joi:社会はこっちの方(インフラに近い方)が大事かもしれないしね。

アメリカ大統領について

林:オバマと話してたりしてたじゃん。なんかある面白い話。

Joi:基本的に人工知能の話が多かったよね。ホワイトハウスもあまり人工知能の話を今までしてきてなくて、今年やっぱりコンピュータサイエンスだけではなくて社会的にどうなのか、例えば仕事に対してどうなのかとか、こういう議論がすごく重要になってきて自動運転の規制も無くしそうなこと言い出してるんでちょっと怖いんだけど、あまり規制をしないでインターネットのように比較的オープンに考えて欲しいし、アメリカの軍事がAIをやりたがっていて、オバマさんはそれはオープンにやろうって言っているんだけど今年3600億欲しいって言ってトータルで18ビリオン欲しいっているんで、中国はある人に聞いたら中国も同じで、中国とアメリカが人工知能の戦争のレースになると嫌だなという感じ。

林:僕から見ると西海岸で起きてきたことをJoiが東海岸に行って西側のモデルがちゃんと東側に入っていよいよ良い塩梅の時にアメリカの大統領が変わることでこんななったり(ひっくり返ったり)しないのかな。

Joi:まだ読めないのが、アメリカってやっぱり政府は政府なりにちゃんとプロが入ってるから、どこまで大統領がぐちゃぐちゃにできるかっていうのがトランプになった場合、みんなで色々な仮説を立てているけどわからないよね。でもボストン今ね、バイオが伸びてきた。バイオって結構物理的に近くないとできないからなんとなく雰囲気がGEもヘッドクウォーターをボストンに持って行ったし、ワトソンの新しいトップもボストンだし、結構ボストン今伸びてきて昔の投資家もいるんだけどやっと何か起きそうな感じがしてきているんだよね。

シリコンバレーは自分たちで完結しすぎちゃって、ボストンの方がヨーロッパと繋がってたり、ワシントンと繋がったり、ニューヨークと繋がっているんで、これからベンチャーの方も、僕もこの5年間ほとんどずっと学校の方に集中してたんだけど今年から少しベンチャーとか投資家側ともコミュニケーション始めてる。

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現在、世界各地で起こっているイノベーションを発信し、現場の声をお届けします。