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昆虫はビールの原料にも〜コオロギを原料に使用した世界初のクラフトビール「コオロギビール」登場

 植物由来の人工肉や細胞培養肉など、従来の家畜に変わる代替タンパクが注目を集めている。昆虫もその栄養価の高さに加え、飼育の環境負荷が低く持続可能性が高い食材として利用され始めている。その昆虫を原料としたビールが登場した。

 株式会社Join Earth(東京都中央区)と、岩手県遠野市の株式会社遠野醸造(代表・袴田大輔)が、コオロギを原材料に使用した世界初のクラフトビール「コオロギビール/ Cricket Dark Ale」を共同開発した。このビールは3月15日〜18日に渋谷パルコ「COMINGSOON」にて限定販売される。

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ローストしたフタホシコオロギとモルト、どちらも香ばしい

 2019年11月、株式会社Join Earthを設立した篠原祐太氏は、昆虫食歴21年。食材としての虫の可能性を探究し、「動物も、植物も、虫も、分けへだてなく向き合える世の中」を目指し、昆虫食への先入観を払拭する活動をしている。これまでも、2種類のコオロギで出汁をとった「コオロギラーメン」を「ラーメン凪」と共同開発し、全国各地のイベントで提供し好評を博してきた。

 一方、遠野醸造は、ホップの一大産地・岩手県遠野市で、地域コミュニティに根ざしたブルワリー運営を行っている。これまで、地域資源を活かしたさまざまなプロダクトをリリースし、新たなビアカルチャーの創出に尽力してきた。同社は以前から原材料としての昆虫の可能性に注目しており、コオロギのポテンシャルを最大限活かしたクラフトビールの試作を重ね、今回の共同開発に至った。

 共同開発した「コオロギビール/ Cricket Dark Ale」は、こだわりの国産コオロギを使って製造したビール(ダークエール)。原料は「太陽グリーンエナジー株式会社」が提供するフタホシコオロギを使用。丁寧に焙煎したフタホシコオロギとローストモルトを麦汁に加え、コオロギの香りとうま味を存分に引き出せたという。

品質管理が徹底された「太陽グリーンエナジー株式会社」のコオロギ

 原料のコオロギは、福島県にあるファームにて、室温・湿度管理を徹底した最適な環境下で、社食のロスで出る野菜などを餌に育てられている。収穫後も、丁寧な洗浄と熱処理を加えているため、安心安全に食べることができるという。気になる味だが、コーヒー、カカオ、カモミールのような香りが先行し、口に含むと苦味とコク、キャラメルの香りがし、うま味の余韻が長く続くそうだ。

 ちなみに、このコオロギビールを製造する際に残ったビール粕をコオロギに与えてみたところ、食いつきがよく、収穫したコオロギの味も優れていたそうだ。今後は「ビール粕を餌にしたコオロギ」を使用した循環型ビールの開発にも取り組んでいくという。

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 2013年には国際連合食糧農業機関(FAO)も「食品及び飼料における昆虫類の役割に注目する報告書」を公表しており、その中で昆虫類にはたん白質及び良質の脂肪、さらにはカルシウム、鉄分及び亜鉛が多く含まれていることが述べられている。また、すでに全世界で1,990種類を超える昆虫類が食用とされており、食材としてのポテンシャルに溢れているという。

 3月に限定販売が予定されている渋谷パルコには「昆虫の食べ比べ」などのおつまみメニューも楽しめる獣肉酒場「米とサーカス」もある。この機会に新しい食品をいろいろと試してみるのもいいかもしれない。

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