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漁業、農業、広大な大地を活かせ 起業家は北海道に集う〜Open Network Lab HOKKAIDO デモデイ

Open Network Lab HOKKAIDO 3rd Batch(プログラム期間:2020年7月〜11月)のDemoDayは11月19日に開催

Open Network Lab HOKKAIDO 3rd Batch(プログラム期間:2020年7月〜11月)のDemoDayは11月19日に開催

 「Open Network Lab HOKKAIDO」(主催:株式会社D2 Garage)第3期生によるデモデイが11月19日に開催された。今回のデモデイは、オンライン配信にて開催され、同プログラムに採択された4社のスタートアップが事業内容を発表した。また、札幌市の秋元市長など3名の審査員によりBest Team Award(最優秀賞)が選出され、株式会社nanoFreaks の海難事故通報・救助要請サービス「yobimori」が受賞した。

 4社の事業内容を以下の通り(デモデイの登場順に紹介)。

 株式会社Flyers(本社:札幌市中央区)が提案するサービス「Flyers(フライヤーズ)」は、ドローンを飛ばせる場所「フライトスポット」を探すことができるドローンユーザーのためのプラットフォームだ。よく知られているように、ドローンはどこでも自由に飛ばせるわけではない。飛行にあたって、ドローンに関する法律や条例を理解した上で、さまざまな規制をクリアする必要がある。該当エリアの公的機関への申請だけではなく、土地管理者の許可が必要なケースも多く、その手間は膨大なものとなることも。

 Flyersでは、飛行可能場所を検索、選定することができるだけでなく、そこで必要な許可申請先がどこなのかも教えてくれる。さらには許可申請の代行までも提供するワンストップサービスだ。現在、北海道エリアで検証を進めているが将来は日本全国、さらには地球規模の展開も想定している。

株式会社Flyers Flyers(フライヤーズ

 介護事業を営む株式会社HELTEQ(本社:札幌市北区)は、営業支援ツール「​ケアえもん」を提案した。定員に空きがある介護事業所は、利用者を確保するために個々のケアマネージャーへ営業を行っている。しかし、当然のことながら利用者側にも要介護度の違いや細かな希望があり、双方条件が一致しないことも多く、営業活動が空振りになることも珍しくはない。

 ケアえもんは、ケアマネージャーが抱える利用者の情報を集約して一元管理し、それを介護事業者側の条件に合わせて提供するシステムだ。これにより、営業の効率は上がり、介護事業者はコストを削減することが可能となる。

株式会社HELTEQ ケアえもん

 農業向けのAI技術開発を手掛ける株式会社スカイセンス(本社:神奈川県横浜市)が提案するのは、ドローンとAI画像処理を使った農作物の病害の発見だ。同社の「Skysense(スカイセンス)」では自動操縦で飛行するドローンを使用し農場全体の地図を作成する。ドローンには4Kカメラと、マルチスペクトルセンサーが搭載されており、農作物の生育状況や病害の兆候などを知るために必要な多くの情報が収集できる。これらの情報を、ディープラーニングAIを使用して解析し、病害の状況を地図上に表示することができる。

 すでに米国の2州でビジネスを開始しており、4社と契約済みだ。日本では2021年からワイン用のぶどうを手始めに事業を展開する。その後はお米やジャガイモ、小麦など道内でも大規模に作付けされている農作物にも対応していく予定だ。

株式会社スカイセンス Skysense(スカイセンス)

 株式会社nanoFreaks(本社:福岡県福岡市)が提供するのは、漁師の落水による海難事故時にSOSを自動発信する仕組みだ。代表取締役の千葉佳祐氏は、自身も北海道で漁師をしていた祖父を落水事故で亡くしている。その経験もあって、こうした通報の必要性を痛感し、開発を手掛けたのが「yobimori(ヨビモリ)」と命名されたこのサービスだ。

 ひとりで操業する漁業者は、海の上で事故が起きた際にもそれを発見、通報してくれる相手がいない。そのため発見が遅れることが多く、それが事態をより深刻にしていた。yobimoriは身につけたデバイスが水没すると、位置情報と共に救難信号を自動発信する装置で、わずか数秒で近辺の仲間や家族、救助機関にSOS通知し、救助を要請することができる。 すでに2つの漁業組合で試験導入を進めており、将来的には釣りやマリンレジャーの領域でも利用者を獲得していくことを想定している。

株式会社nanoFreaks yobimori(ヨビモリ)

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 今回のデモデイでは、農業や漁業など北海道の主要産業とすぐにでもリンクできそうなビジネスや、その分野ではあって当然と思われるサービスの提案が行われた。採択チームも首都圏、九州などから広く集まってきており、実証実験を行うための広大なフィールドを持ち、既存の組織や地域の因習に縛られない北海道の特性は、起業には適した環境であることが徐々に認識されてきた証だろう。

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