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【JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― Vol.14】京都大学元総長の山極壽一さん、千葉工業大学学長の松井孝典先生と、日本の教育の未来について考える

左から、山極壽一氏、松井孝典氏、伊藤穰一

左から、山極壽一氏、松井孝典氏、伊藤穰一

 マサチューセッツ工科大学のメディアラボの元所長で、株式会社デジタル・ガレージの共同創業者でもある伊藤穰一が、さまざまなゲストを招きデジタル変革について考えていくポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST  ― 変革への道― 」。

 今週は、前週に引き続き、霊長類学者で総合地球環境学研究所の所長山極壽一さんと、惑星科学者で千葉工業大学の学長の松井孝典先生のお二人との鼎談。ここではさまざまな話題が議論されたが、ここでは教育に話だ及んだ部分を取り上げた。

 山極氏は京都大学の総長を6年間務め、松井氏も現在、千葉工大の学長を務めている。それぞれ、大学の運営に深く関わった経験から「教育」について語った。

* * *

伊藤穰一 (以下、伊藤):アカデミアを見ていると、行われている研究はなんとなく標準化されて来ているような気がします。全く統計学的に意味がない発言もよく聞くような気がするんですよね。

松井孝典(以下、松井):教育ってやっぱり画一的にやるわけでしょう。だって国民を育てるという。だからそこがもう根本的に教育っていうものに対する概念が変わっていないからね。

 山極寿一(以下、山極):初等教育は画一的な教育でいいはずなんです。っていうのは覚えなくちゃならないことはあるわけで、それを効率的に段階的に教えることが初等教育になるわけだから。でも、子供というのはどんどん個性的に育っていくわけで、大学に入ったら、その個性を伸ばすような教育になるわけだし、画一的な教育なんか絶対してはいけないわけだよね。それぞれが自分の学問分野の中で好きなことを広げながら能力を伸ばしていけばいいし、その能力に寄り添うような環境を与えることが大学教育だと思うんですよね。だけど日本の政治家って初等・中等教育しか頭にないから、大学も画一的な教育をしようと思って一生懸命規則を定めるわけですよ。しかも成果を求めるわけだよね。あれが間違いだと僕は思うんですよね。

松井:政治家というより文部省だよ。文科省が初等・中等教育しか頭にないってことだよね、基本的に。

伊藤:うーん、それは変えられないんですかね? 

松井:明治政府ができたときには、近代国家になるために、みんな等しい国民をたくさん作らなきゃいけないから必要があったんですよ。だけど今こういう時代にさ、ほんとにそんな画一的に教育を考える必要があるのかということですよ。別にみんながバラバラであったってかまわないわけでしょ。だからそういうふうにもう教育そのものを考え直さなきゃいけないわけ。今ね、例えばですよ、高校でも大学でも物理学・化学・地学・生物学で教えようと思ったらさ、こんなの  教え切れるわけないでしょう。だからそこから取捨選択してそういう必要最低限のものは教える必要があるけどさ、それは国家がこうだなんて決める問題じゃないよね。教えるところで考えればいいことじゃないですか。

伊藤穰一:先日、小学校を設計してる人と話したんですけど、彼が言ってたのは実は文部省はかなり自由なんで。別に文科省を守るわけじゃないですけども。逆にそれを応用してる学校が”今まで通り”やっているので、例えば学校が勝手にもう学年をなくしてプロジェクトベースでテストもなくしても、今の文科省のそのやり方の中ではできるっていうふうに言っていて、で、それはできるのにやらないっていうふうには彼は説明してたけどね。だから・・・

松井孝典:それは、私立学校は可能だと思います。でも、公立学校ができるかといったら、それはかなり難しいと思います。だからこれからは僕はだから私立の時代だと思ってますよ。

 山極寿一:なるほど。でもね、学問と違う分野ではかなり自由なことが支えられてるわけですよ。スポーツ、芸術、音楽家になるためにはね、早くから留学してもう3歳ぐらいからバイオリンひかなくちゃいけないとかね、そういう能力を育ててちゃんと世界的なバイオリニストになる人もいるし、ピアニストになる人もいる、スポーツだってそうですよね。で、それに秀でる人はどんどんその能力を伸ばすということをやってるわけじゃないですか。で、ところが学問の世界ってなかなかそう、そうなってないんですよね。で、やっぱり小さい時から能力に目覚めてすぐくらいですかね、やれるっていうのはね。

* * *

 教育に関する話題は、大学の研究に関する話題にも発展した。大学改革が進む中、それぞれ研究に携わる中での課題などが噴出しているようだ。伊藤穰一が所長を務める千葉工業大学の変革センターについての話題も出た。この続きは、番組でお楽しみいただきたい。

【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】

番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけでなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFTをプレゼントしています。

https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0

【編集ノート】

伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。

https://joi.ito.com/jp/archives/2022/01/24/005756.html

JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―
JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―

■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」

#14 京都大学元総長の山極壽一さん、千葉工業大学学長の松井孝典先生と、日本の教育の未来について考える

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