トヨタグループの総合商社豊田通商は21日、長崎県の五島列島でドローンを使った医療用医薬品の配送を始めることを発表した。このサービスを開始するにあたって、完全子会社の「そらいいな株式会社(本社・長崎県五島市)」を設立。配送に使うドローンは、豊田通商も出資する米国のスタートアップのジップラインの機体を使用する。そらいいなの発着拠点は福江島に五島市に完成し、4月21日には竣工式が行われた。
ジップラインのドローンについては、以前の記事でも紹介している(「コロナ禍の米国で活躍の場を広げるドローン」)。
同社は2014年にサンフランシスコで設立されたスタートアップで、ルワンダなどアフリカ諸国で医薬品の輸送などには実績があり、米国ノースカロライナ州でもコロナ対応の医療品輸送で活用されている。ドローンは小型飛行機のような形をした固定翼機で、時速100キロを超える速度で飛行する。予めプログラムされた経路を飛行し、目的地上空でパラシュートがついた荷物を落下させた後、Uターンして出発地に戻ってくる。
今回使用されるドローンは2時間以上の連続飛行が可能で、拠点から半径80km圏内に配送ができる。可搬重量は1.75kgとなっている。
五島列島はその名の通り、5つの主な島と約200の島々からなる。交通網としては福江空港には長崎などから航空便が来るが、これまでは島と島の間の往来は船便に頼る他なかった。
ドローンによる医薬品の配送は、まずは五島市のある福江島と奈留島への定期運航(図内の赤線)を1日2〜4便ほどでスタートする。その後、福江島の西部、市内各島、新上五島町など(図内の黒線)へも配送先を増やす予定だ。
今回の飛行ルートは主に海上となるが、リリースによると、今後オペレーションの実績を積み重ねて、今年度末頃に向けて段階的に認可が進むであろう「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」(レベル4飛行)の実施を目指し、ドローンを使った「離島間の長距離定期物流通網」を構築し、離島の課題である物流や医療アクセスでの格差解消に役立てたいとのことだ。