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国も起業家育成を後押し スタートアップカンファレンスに集う人々〜IVS 2023 KYOTO その1

IVS KYOTO会場風景

IVS KYOTO会場風景

 6月28日〜30日の3日間、国内外の起業家や投資家などが集う日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS 2023 KYOTO / IVS Crypto 2023 KYOTO(主催:IVS KYOTO実行委員会)」が京都市勧業館「みやこめっせ」やロームシアター京都で開催された。

 スタートアップが集うイベントとして、関係者間では知られたこのイベントの参加者は、これまで招待者などが主体であった。今回からは有償で一般にも広く開放され、多くの参加者が訪れた。主催者によると来場者は従来の約5倍の約1万人となり、会場はネットやゲームのビジネスショー・展示会のような活況となった。

 参加者拡大の背景には国家戦略として起業家の輩出、スタートアップの育成を掲げる現政権の方針もある。オープニングイベントでは、京都府、京都市の首長の挨拶に続いて岸田首相もビデオメッセージを寄せ、その中で「伝統と文化の集積地である、ここ京都から、日本のスタートアップ・エコシステムが花開くきっかけが生まれることを期待しています。」との期待をのべた。

IVSとはどんなイベント?

 IVSはスタートアップの経営幹部、VC(ベンチャー・キャピタル)や個人の投資家、さらにオープンイノベーションのパートナーを求める大手企業の投資、新規事業担当者などが主な参加者だ。

 会場にはビジネスショーのように企業が出典する展示ブースもあれば、講演やパネルディスカッションなどのセッションも多数用意されている。さらにスタートアップのイベントらしく、ピッチコンテストや京都市内のあちこちで開催されるサイドイベントなどもある。

投資・育成する側もスタートアップにアピール
投資・育成する側もスタートアップにアピール

 スタートアップが登壇する「IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO」は国内最大級のピッチコンテストだが、逆にVCや事業会社がスタートアップやファンドの出資者にむけて、自社の事業・投資方針をプレゼンテーションするリバースピッチのセッションも数多く設定されていた。日頃まとまって聞く機会の少ない各VCの相違点や出資の狙いを知るにはいい機会となった。

 さらに、17ステージで合計250もあるセッションでは、大企業やスタートアップそれぞれが、web3やAIなどについてのビジネス展望や戦略、進捗など自らの情報を披露し、マッチングの機会を創出していた。また、起業家にとっての勉強会的なセッションもあり、なかにはストックオプションの扱いや資金調達など、「本当のところみんなどうしてるの?」的な話題がシェアされるセッションも。こうした内緒話セッションにはタイムスケジュールに【完全オフレコ】、【オフレコ】などの表記がつけられていた。

起業家にとっては千載一遇の機会

 スタートアップ創業者は、資金調達で自分たちを応援してくれる人や組織を探すのに、通常は先輩起業家や起業仲間ツテをたどって紹介をしてもらい、アポをとって、ようやく面談という手続きとなるが、IVSの会場では、そんな手続きを大幅に省略して目指す人物に会うこともできる。

 会場では、盛んにビジネスマッチングが行われており、有望スタートアップの経営幹部、著名VCの担当者には交流を求める列ができていた。その場で即席のプレゼンや事業紹介が行われており、皆ここぞと力が入るので、会場内が大声の会話で満ちあふれているのもこのイベントの特徴だ。

 この場で細かなディールまで成立させるのは難しいが、参加したスタートアップの経営者に話を聞くと「とにかく多くの人が集まっているので、この場所できっかけを作っておくことができます。忙しいです!」と勢いそのままに話をしてくれた。

DGDVの渡辺大和
DGDVの渡辺大和

 IVSに投資家側として参加したデジタルガレージグループの株式会社DG Daiwa Ventures投資部長の渡辺大和は「スタートアップやその支援者に優秀な人材が流れ込んでおり、全体のパイが大きくなることはポジティブ。また登壇者を見渡しても、以前と比べて世代交代やジェンダーバランスの改善が見られ、グローバル基準に少し近づいた印象」と述べた。

 5カ年で日本のスタートアップ・エコシステムを飛躍拡大させようというのが国の目論見だが、起業家の育成、資金供給の強化などにつながる動きが胎動していることが、このイベントからも感じられた。

Written by
朝日新聞社にてデジタルメディア全般を手掛ける。「kotobank.jp」の創設。「asahi.com(現朝日新聞デジタル)」編集長を経て、朝日新聞出版にて「dot.(現AERAdot.)」を立ち上げ、統括。現在は「DG Lab Haus」編集長。