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成都ユニバ  中国伝統の「冷巷」などエコの秘密を探る

四川省成都市の成都ユニバ選手村生活サービスセンター。伝統的な「冷巷」の技術が取り入れられている(2023年7月5日撮影)。(c)Xinhua News

四川省成都市の成都ユニバ選手村生活サービスセンター。伝統的な「冷巷」の技術が取り入れられている(2023年7月5日撮影)。(c)Xinhua News

【Xinhua News】第31回FISUワールドユニバーシティゲームズ夏季大会(成都ユニバ)が今月28日から8月8日まで中国四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)で開催される。

 強烈な日差しと40度近い高温にも関わらず、同大会の選手村生活サービスセンターは涼しく快適に保たれている。センターの建物には、空調設備のなかった時代の職人たちが編み出した、自然通風によって建物の温度を下げる中国伝統の「冷巷」(れいこう)技術が取り入れられているためだ。

 中国建築西南設計研究院の建築デザイナー盧義修(Lu Yixiu)氏は「冷巷」の原理について「広い場所から狭い場所へ気流が進む際に負圧が形成され、室外から多くの空気が流れ込むと同時に、室内の暖かい空気と湿気が外へ排出される」と説明した。

 同センターのメインとなる建物は小高い丘の上にあり、丘の斜面からふもとまで続く半屋内の通路が北東向きと南向きに二つのラッパ口を形成し、生活サービスセンターの各種機能をつないでいる。

 盧氏によると、地形を生かした設計で元の地形へのダメージを減らすとともに「冷巷」による温度低下効果も最大限発揮されることから、建物のエネルギー消費や二酸化炭素の排出を抑えられる。「冷巷」構造を持つ同センターの総建築面積は1400平方メートルで、エアコンを使用しない場合、年間約7万キロワット時の節電になるという。

 選手村では「低炭魔方(CARBON INTEGRAL)」と書かれた直方体の資源回収装置が目を引く。装置に金属やプラスチックなどの廃品を投入すると、数秒後に装置から「カーボンポイントチケット」が発行される仕組みで、チケットはジャイアントパンダや同省の三星堆遺跡から出土した青銅面具などがプリントされたTシャツや帆布バッグと交換できる。

 現場スタッフの傅詩婧(Fu Shijing)さんは「低炭魔方」が選手村と競技会場に設置されていると紹介。「この楽しい双方向型の取り組みが、健康的で低炭素な生活の実践を促すことにつながれば」と語った。

 このほか、環境に配慮した建材やLED照明の全面的採用、既存施設の改修など「緑色、節倹、必須(環境に配慮し、節約し、必要なことは必ずやる」という同大会の運営原則が至る所で体現されている。

大会の開会式会場で、メイントーチへの点火が行われる同市竜泉駅区の東安湖体育公園は数千畝(1畝=約667平方メートル)の広さがあり、普段は市民の憩いの場となっている。同区水務局の職員によると、公園内では周辺道路の配管網を十分に利用してエリア内の雨水や汚水を全面的に収集排除するほか、東安湖を河川と分離して洪水の影響を受けないようにして水質を確保するという。

 公園内ではここ数年、淡水クラゲの一種で「水中の国宝」と呼ばれるマミズクラゲが確認されている。水質に対する要求が非常に厳しいマミズクラゲの「定住」は、湖の生態環境改善に対する大きな「お墨付き」と言える。(記者/康錦謙)【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News|使用条件