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AWSサミットNYが開催 今年の話題はやはり「生成AI」

AWSサミットNYの会場

AWSサミットNYの会場

 アマゾン・ドット・コム傘下で、クラウドコンピューティングの世界最大手、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)による年次カンファレンス「AWSサミット・ニューヨーク」が開催され、数多くの参加者が詰めかけた会場では生成AI(Generative AI)に大きな注目が集まった。ニューヨーク在住の筆者も、実際に会場に足を運んだ。

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 今年で13年目を迎えるAWSサミット・ニューヨークは、マンハッタンにあるジャビッツ・センターで7月26日に開催され、1万人以上が参加した。

 会場では、多くのIT企業の関係者やエンジニア、そしてプログラマーなどが集まって談笑しているのが目に入り、かなりの盛況ぶりである。

 今回のカンファレンスでは、AWS関係者によるパネル・ディスカッションやワークショップなど115のセッションが行われた。メイン・ステージでは3つの講演が同時進行し、それぞれの講演ごとに色分けされたヘッドフォンをつけた参加者たちは、話に聞き入っていた。

アマゾンも生成AIに本格参入

シバスブラマニアン氏の講演

 基調演説を行ったAWSマシーン・ラーニング(機械学習)の責任者であるスワミ・シバスブラマニアン氏の話題は全て、生成AIの重要性や同社の取り組みに関するものだった。

「生成AIはその技術の進歩と実用性において、今まさに転換期にあります」(シバスブラマニアン氏)

 生成AIの分野では、OpenAIと組んだマイクロソフトや、Bard(バード)を発表したグーグルに遅れを取っている感がいなめないアマゾンだが、今年の4月に生成AIの開発に特化したクラウドサービス「Bedrock(ベッドロック)」、そしてテキストの生成や要約をするための大規模言語モデル「Titan(タイタン)」を発表し、生成AI市場に本格的に参入した。

 基調演説の中で、シバスブラマニアン氏はベッドロック上で使える基盤モデル(以下、FM=Foundation Model)を自社のものだけではなく、新たなスタートアップ企業などのモデルも追加し、使用可能なFMを増やすと発表。開発者たちの利便性を重視する姿勢をみせた。

 また、同氏はベッドロックを利用し、医療分野に特化した新たな生成AIサービス「HealthScribe(ヘルス・スクライブ)」を提供することも発表した。このサービスを使えば、診療時における医師と患者の会話を録音し文字起こしが行われる。このデータを利用して、診療内容の要約を自動作成し、各医師による事務作業の負担を軽減することができる。

 シバスブラマニアン氏による基調演説は1時間以上にわたって行われたが、そのほとんどが生成AIに関するもので、この分野への関心の高さがうかがえた。

生成AIへの警告と期待

 会場内では、AWSのクラウド・システムを利用した金融サービスやアプリ開発についての講習、またセキュリティーの問題に関するディスカッションなど、幅広いテーマのセッションが行われていたが、その中でも特に注目を集めていたのが「企業のための生成AI」と題したトーク・セッションであった。

クラウデラ社ヒラルド氏

 事前に用意された座席が足りないほど多くの参加者を集めたこのセッション。担当したクラウドベースのデータ管理会社Cloudera(クラウデラ)のサンティアゴ・ヒラルド氏(マーケティング担当)は、最初に「話題になっているChatGPTなど、現在の生成AI技術は非常に目を見張るべきものです」と語った。

 しかし、いまの生成AIは「現在あるデータに基づく予測システム」にしか過ぎず、「100%正確なシステムではあり得ない」と同氏は警告し、参加者に注意をうながした。

 セッション後、筆者がこの点についてあらためてヒラルド氏にたずねると、「現在ある生成AIは、(人間から)与えられた巨大なデータの中から最も適した言葉を予測して選んでいるだけであり、理論的な知識に基づいた返事を出しているわけではありません」という答えが返ってきた。

 また、ビジネスの世界では「99%正確だったとしても、1%のミスがすべてを壊すことになる」と同氏は忠告した。

 ヒラルド氏によると、ChatGPTなどの現在の生成AIは「ファースト・ドラフト(たたき台)」を作り出すのには非常に有効なツールであり、仕事や人びとの生活の生産性を上げるのに役立つだろうが、最終的には人間が介入しなければならない。さらに「プライバシー(個人情報)」や「ハルシネーション(AIによって作り出された、文脈とは無関係な内容や事実とは異なるコンテンツ)」は大きな問題点であり、現在の生成AIはまだ「幼児期」にある、と現時点での生成AIビジネス活用の課題を整理して、丁寧に解説してくれた。

Persistent Systemsのムカージー氏

 会場内にはAWSパートナー企業などによる数多くのブースが展示されていたが、そのひとつインドの企業Persistent Systems(パーシスタント・システムズ)では「生成AIのパワーを発揮」と書かれたサインが掲げられ、参加者たちの興味を引いていた。

 さまざまな分野の企業にデジタル・ソルーションを提供する同社のスプラティム・ムカージー氏(クラウド開発事業担当)に話を聞くと、「(AIは)これから加速的に成長していくでしょう」と自信を持って語った。そのブースにはゴルフのパター用の練習マットが設置されていたが、同氏によるとそのパターにはセンサーが取り付けられており、そこから採取されたスイングの速さやフォームなどのデータがアプリに送信され、AIによりゴルフ選手の特徴や改善点などを分析することができると説明した。

 今後はこうしたスポーツの分野だけでなく、社会のあらゆる部分でAIが浸透していくだろうとムカージー氏は語った。

「(AIの進化により)あらゆるものがドラスティックに変化していくでしょう」(ムカージー氏)

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 昨年ChatGPTが登場し、にわかに世間の注目を集めたが、今回のカンファレンスに参加して、生成AIに対する関心の高さが持続していることを実感した。

 集まった業界関係者やビジネスマンの中には、生成AIへの期待がある一方、「どこまで使えるのか」「本当に使っても大丈夫なのか」といった不安もかなりあることがうかがえた。生成AIをより効果的にビジネスに組み込む方法や、課題とされているあれこれが、今後どう着地するかを見極めるのにはまだしばらくの時間と、多くの議論が必要だと感じられた。

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