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中国の研究チーム、ブラックホール降着磁場の謎を解明

ブラックホールX線連星MAXIJ1820+070の多波長光変動を示す図(資料写真)。(c)Xinhua News

ブラックホールX線連星MAXIJ1820+070の多波長光変動を示す図(資料写真)。(c)Xinhua News

【Xinhua News】中国の武漢大学(湖北省武漢市)は、天文学部の游貝(You Bei)副教授の研究チームが、ブラックホールX線連星の観測データの分析を通じてブラックホール降着流における磁場輸送プロセスと強い磁場を持つ降着円盤(Magnetically Arrested Disk=MAD)の形成過程を明らかにしたと発表した。関連論文はこのほど、国際学術誌サイエンスに掲載された。

 ブラックホールが物質を捕獲する物理過程を「降着」、捕獲された物質を「降着流」と呼ぶ。ブラックホールの周囲には目に見えない磁場があり、ブラックホールが物質を降着させると磁場も内側に引き込まれる。理論上は、降着物質が外部の弱い磁場を引き込み続けると、降着流に対する磁場の外向きの磁力が徐々に増加する。磁場の外向きの磁力とブラックホールが物質を引き寄せる内向きの重力が釣り合うと、降着流は磁場に閉じ込められてブラックホールに落下することができず、MADが形成される。

 游氏は「この理論モデルは各種天体に広く応用されており、ブラックホールの降着システムの多くの複雑な観測現象を説明することにも成功したが、MADが本当に存在するかは現時点で証明できず、形成過程も謎となっている」と説明した。

 游氏のチームはブラックホールX線連星MAXIJ1820+070の爆発時の多波長観測データを利用。ブラックホールから噴出する高速のプラズマ流「ブラックホールジェット」の電波放射が降着流の内側領域の高温ガス(熱降着流)の硬X線より約8日遅れるという前例のない長時間の遅延現象を観測した。

 研究チームは、降着円盤の外側領域にある弱い磁場が、ブラックホール周辺の熱降着流により増強され、降着流の径の尺度が大きいほど磁場増強が顕著になると指摘。データ分析では、降着率の低下により硬X線放射が減少する一方、熱降着流の径の尺度が急速に拡大したことがブラックホール周辺の磁場を急速に増強させ、硬X線放射ピークの約8日後にMADを形成させたことが分かった。

 游氏は「ブラックホールはすべてを飲み込む『大食漢』ではなく『満腹』時には磁場が物質の落下を防ぐこともあることを説明している」と述べた。

 今回の研究により降着流の磁場輸送プロセスとブラックホール付近の熱降着流で形成されるMADの全形成過程が明らかにされたことは、大きさの異なるブラックホールの降着円盤における大規模な磁場の形成やジェットの加速メカニズムなど重要な科学問題への理解を大きく深めることになる。(記者/李偉、熊翔鶴)【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News|使用条件

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