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大学生がAIガチョウ飼育ミニプログラムを開発、生存率30%向上 広東省

開発されたAIガチョウ飼育ミニプログラムの画面(資料写真)。(c)Xinhua News

開発されたAIガチョウ飼育ミニプログラムの画面(資料写真)。(c)Xinhua News

【Xinhua News】中国の大学生16名がこのほど、広東省(Guangdong)汕頭市(Shantou)の獅頭鵝(ライオンヘッドグース)養殖農家の飼育上の問題解決を支援するため、人工知能(AI)ガチョウ飼育ミニプログラムを開発した。同ミニプログラムは動きの鈍いガチョウや発熱したガチョウの自動識別、環境モニタリング、データ分析などの機能があり、これによりガチョウの生存率は30%向上した。

 獅頭鵝は主に地元の名物料理「潮汕滷鵞」に使われるが、飼育が非常に難しいとされる。同市澄海区には300年以上のガチョウ養殖の歴史があり、代々の養殖農家は経験を積み重ね、肉眼で長時間動かない個体がいるかどうかを観察し、両手で触って発熱を感じ取ることでガチョウの健康状態を判断する技を習得してきた。

 しかし目と手がいかに鋭敏であってもウイルスにはかなわず、2018年の冬に突然、鳥インフルエンザが同区の後渓村を襲った際には、数千羽いた獅頭鵝がわずか5羽になってしまった養殖場もあった。

 同村の専業ガチョウ養殖農家、金書濤(Jin Shutao)さんは昨年、深圳大学2020級騰訊(Tencent、テンセント)クラウドAI専門クラスの学生16人を自分の獅頭鵝養殖合作社(協同組合)に招き、深圳大学の教員とテンセントのエンジニアによる指導の下で、学生と共にこの100年来の難題に挑み、見事解決した。

 AIガチョウ飼育プロジェクトチームは、4千羽余りのガチョウが密集して鳴いている500平方メートルの養殖場で、養殖農家の経験に基づき、ガチョウがその場にとどまっている時間の長短を識別して病気の有無を判断することを決定し、ハードウエア、フロントエンド、バックエンド、アルゴリズムの四つのグループに分かれてプロジェクトを推進した。

 耳をつんざくようなガーガーという鳴き声の中、学生たちはカメラを設置し、ガチョウの顔のデータを集め、アルゴリズムモデルを実行した。ガチョウの密度が高過ぎるため、アルゴリズムを反復的に最適化する必要もあった。学生たちはテンセントのエンジニアによる指導の下、まず識別アルゴリズムを最適化し、密集した場面でのガチョウ識別率を向上させ、次に追跡アルゴリズムを最適化し、各ガチョウがその場にとどまっている時間の長さを記録して異常の有無を判定した。

 度重なるオンライン会議を経て、ミニプログラムはイテレーション(反復)とアップグレードを繰り返し、現在では動きの鈍いガチョウや発熱のあるガチョウの警報を毎日リアルタイムで取得できるようになった。さらに飼育場の温度や湿度、PM2・5指数、データ変化のトレンドグラフも表示し、養殖場内の獅頭鵝の生存率を30%向上させるのに寄与している。

 深圳大学の視覚研究所の沈琳琳(Shen Linlin)所長は「AIを作るとは、エアコンの効いた部屋に座ってコードを書くのではなく、ガチョウのふんが落ちている中でコードを書くのを学ぶことだ」と笑顔で語った。(記者/王豊)【翻訳編集】Xinhua News/AFPBB News|使用条件