【AFP=時事】米実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏がX(旧ツイッター)を買収して以降、不適切なコンテンツの監視や削除に関わっていた同社スタッフが、全世界で1000人以上離職していたことが分かった。オーストラリアのインターネット監視当局が11日、データを公開した。
データを公開した豪eセーフティー(eSafety)は、こうした大規模な人員削減と数千の凍結アカウントの解除が、嫌がらせや屈辱などであふれかえる「破滅的な状況」をつくりだしたと指摘している。
eセーフティーはこれまでも、マスク氏の買収と同時にX上の「有害・ヘイト」コンテンツが急増したと指摘している。今回、同国の「オンライン安全法(Online Safety Act)」に基づき、ソフトウエアエンジニア、コンテンツモデレーター、その他の安全関連スタッフの雇用状況に関する詳細な情報を入手した。
旧ツイッターの元従業員でeセーフティーのジュリー・インマングラント(Julie Inman Grant)コミッショナーによると、こうしたデータが公開されるのは初めてだという。
公開されたデータによると、マスク氏が2022年10月にXを買収して以降、不適切な投稿の監視などを行っていた「信頼と安全性」の問題に取り組む、契約社員を含む専門スタッフ1213人が離職していた。
インマングラント氏によると、この数字には、こうした問題を専門とするソフトウエアエンジニアの8割も含まれていた。
インマングラント氏はAFPに対し、「こうした専門の技術者を80%を減らしてしまうことは、高い安全性を誇ることで知られているスウェーデンの自動車大手ボルボ(Volvo)社から、設計者やエンジニアを無くしてしまうようなものだ」と述べた。
オーストラリアは世界的にも厳格なソーシャルメディア規制法を導入している。ヘイトスピーチや児童ポルノなどの問題への取り組みについて、運営企業に情報の開示を求めることができる。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件