JAXA(宇宙航空研究開発機構)は20日未明、小型月着陸実証機「SLIM(以下、スリム)」が月面着陸したと発表した。スリムは、2023年9月7日にH2Aロケット47号機によって打ち上げられた。月への着陸は、日本としては初の成功。世界では旧ソ連、米国、中国、インドに続く5カ国目となる。
20日午前0時頃から始まったスリムの月着陸の過程のリアルタイムデータは、ネット動画で配信された。
データ上では、月への着陸が成功したように見受けられたが、その確認と記者会見での正式発表までには1時間半ほどの時間がかかった。20日の午前2時10分頃から始まった記者会見の冒頭で、JAXA理事長の山川宏氏から、20日0時20分にスリムが着陸したことを確認した旨の発言があった。続いて宇宙科学研究所所長の国中均氏から、通信が確立していることからソフトランディングに成功したと考えられること、着陸時にスリムから月面へ放出される小型観測ロボット「LEV―1」「LEV―2」の分離・放出についても成功したことが告げられた。
一方、太陽電池が会見時点では機能しておらず、バッテリーで稼働している状況であること。また、誤差100メートル以内で着陸するピンポイント着陸については、成否を判断するデータ解析に今後1カ月程度が必要になることも説明された。
このまま太陽光発電が稼働せず、バッテリー駆動では着陸後数時間の活動が限度になるが、月周回時には太陽光発電は稼働していたため、今後、太陽光の方向が変われば、発電が開始される可能性も残されている。