【AFP=時事】イタリア・ポンペイ(Pompeii)遺跡から発掘された、炭化した2000年前のパピルス巻物内の文字を、AIを駆使して解読したとして、科学者3人が5日、70万ドル(約1億円)の賞金を受け取った。3人は、解読コンテスト「ベスビオ火山チャレンジ(Vesuvius Challenge)」に参加していた。
イベントの主催者によると、巻物は、ギリシャ文字で書かれた約800巻から成る「ヘルクラネウム・パピルス(Herculaneum papyri)」で、西暦79年のベスビオ山(Mount Vesuvius)噴火の際に炭化した。
パリのフランス学士院(Institut de France)とナポリ国立図書館(National Library of Naples)に保管されている巻物は、一見すると焦げた木の枝のようで、開封しようとするとぼろぼろと崩れてしまう。
解読コンテストでは、4巻を対象に高解像度CTスキャンを使用。研究の加速を目的に賞金のオファーを決めた。
賞金の授与が決まったのは、独ベルリンの博士課程の学生、米スペースX(Space X)社インターンの学生、ロボットを研究するスイスの学生の3人だ。
3人は、AIを使って炭化したパピルスからインクを識別。機械学習モデルを使い、肉眼ではほぼ読むことができないギリシャ文字の解読に当たった。
受賞者の一人、スペースX社インターンの学生が昨年、巻物の一つから最初の単語の解読に成功。ギリシャ文字で「紫」を意味するものと分かっている。
主催者によると、3人の研究により、この巻物の約5%が解読されているという。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件