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DAOの可能性を広げる合同会社型DAO始まる 民泊・シェアハウスの運営も

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 合同会社型DAOによる資金調達などに関する府令改正が、2024年4月22日に施行された。これを受けて、早々に日本DAO協会のホームページに「第1弾 合同会社型DAO」として掲載されるDAOも登場している。

 以前、当媒体でも紹介した神楽坂のシェアハウスを運営する「Roopt DAO」も、合同会社型DAOへと改組することを決議した。

 神楽坂のシェアハウスでのDAOの役割は、株式会社巻組が運営するこの物件管理のサポートにとどまっていたが、合同会社型DAOとなることによって、DAOが主体となり物件を借り上げ、または保有ることができる。それを民泊やシェアハウスなどとして運営すれば、その売上はDAOの収入となり、一定のルールのもとでその収益をDAOメンバーに分配すると、これまでのような“お手伝い”の範疇から脱却して、自ら事業主体として活動することが可能となる。

 ガイアックスのリリースで公表されたロードマップによると、「Roopt DAO」が組成する合同会社型のDAOは「業務執行社員」「その他社員」「DAOメンバー」と3つのカテゴリーのメンバーで構成される。2024年12月までにはメンバーの合計を57名程度、この体制で2〜3軒の物件を運営することを、想定している。トークンの種類もこれまでのDAO共通のNFTとリワードトークンの2種から、「業務執行社員権トークン」「社員権トークン」「リワードトークン」の3種となる予定だ。

 売上を拡大していくため、新たに運営・管理する物件も増やす予定で、その募集もすでに開始しており、伊豆や軽井沢に候補となる物件もあるという。こうした物件の最終的な選定や、代表社員の選出などの運営に関わる意思決定ついては、DAOの仕組みを使って投票により決定していく予定だという。

合同会社型DAO「Roopt DAO」の物件運営イメージ(リリースより)
合同会社型DAO「Roopt DAO」の物件運営イメージ(リリースより)

「今後、実施したいことや構想」について、メールでの質問に対して、ガイアックスでDAO事業部の副事業責任者を務める廣渡裕介氏からは「第一に金銭的な収益分配を実施すること、可能であれば金融機関からの借り入れをしての物件購入などをしてみたいです。」との回答が寄せられた。

 従来の合同会社と同じく、合同会社型DAOも定款の整備などは必要で、社員の氏名・住所などの登録をする手間がかかるなるなど、手続き上の煩雑さはあるものの、法人格を持つことのメリットは大きい。

 こうした合同会社型DAOが主体となった新たな事業体がいくつかスタートすれば、意思決定のプロセスの透明性などのDAOのポテンシャルが広く一般に知られるようになり、DAOで組織を運営することのメリットがよりわかりやすくなるだろう。そうなると今後、疲弊した従来型の組織を立て直す手法としてDAOを活用しようという動きも出てくるかもしれない。

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朝日新聞社にてデジタルメディア全般を手掛ける。「kotobank.jp」の創設。「asahi.com(現朝日新聞デジタル)」編集長を経て、朝日新聞出版にて「dot.(現AERAdot.)」を立ち上げ、統括。現在は「DG Lab Haus」編集長。