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スタートアップ関係者が京都に集結「IVS 2024 KYOTO / IVS Crypto 2024 KYOTO」が開幕

「IVS 2024 KYOTO / IVS Crypto 2024 KYOTO」現地の様子

「IVS 2024 KYOTO / IVS Crypto 2024 KYOTO」現地の様子

7月4日〜6日の3日間、国内外の起業家や投資家などが集う日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS 2024 KYOTO / IVS Crypto 2024 KYOTO(主催:IVS KYOTO実行委員会 Headline Japan / 京都府 / 京都市)」が京都パルスプラザ(京都市伏見区)で開催されている。

 昨年、招待制から有料入場制となったことで、開催期間中1万人を超える来場者を集めたこのイベントは、今年は1万5千人の来場者を目標にさまざまな企画を取りそろえた。ここでは初日に見た、会場の様子を紹介したい。

 オープニングには昨年と同様、京都府知事や京都市長が挨拶に立った。さらにこちらも昨年同様の岸田首相のビデオメッセージも寄せられ、スタートアップ育成が引き続き日本国の重要政策であることを印象付けた。

「お金」も「人」も

 今回のIVSでは、スタートアップに必要な「お金」だけでなく「人」の手当も、ということで採用系の企画も用意されている。スタートアップで働きたい人があらかじめ興味のある企業をピックアップし、会場で出会い気軽に話せる「井戸端キャリア1on1」という企画や、スタートアップ企業の採用に対する支援をしている企業が集まる展示ブース「Recruiting Gallery」といったエリアも設定されている。

「お金」の方もベンチャーキャピタルやCVCに加え今年は、りそな銀行の社長が初日のメインステージのパネルディスカッションに登場し、3日目にはメガバンク3行系列のVCがそろって登壇するセッションも設けられているなど、日本の銀行もスタートアップとの接点を増やそうとしていることが感じられた。

 さて、日本にもより多くのスタートアップを。それも「ユニコーン級の規模のスタートアップをいくつも」という政府目標があるが現実は厳しい。やはり大きな資金を集めると、資金の出し手が増えてきたというものの日本国内だけでは難しく、海外の投資家からの調達も必要だ。そうなると海外の投資家と相対した時にどうすべきかというのは気になるところ。

「グローバルで資金調達を成功するための秘訣」と題したセッションに登壇したHappiness Capital Chief Growth OfficerのDenes Ban氏によると、資金調達成功への道のりは、オンラインゲームと同じようなもので、起業家は次のステージに上がること、特にレベル1をクリアすることに注力する必要があるという。

 資金調達を希望する起業家の数は膨大で、投資家は早い段階で、そのほとんどをふるい落としてしまう。Denes Ban氏によると、最初のミーティングから次に進める起業家は1/10ほどだという。

 ふるい落とされないために最初のミーティングでなすべきことは、数秒で投資家の興味を引くショートストーリーを提供し、とにかく投資家の興味をつなぎとめることだとアドバイスする。もちろん「愉快な話をきかせろ!」ということではない。ミーティングの中で、「なぜ自分にこのタイミングで投資をすべきなのか」ということを相手に納得してもらい、同時に自分が信頼できる人間だということを知って貰う必要がある(それも多くの場合8分ほどのプレゼンテーションで!)という。謙虚が持ち味の日本人にはハードルが高いが、それが世界の現実だ。

興味深い話題や人にも注目

 他にも多くの興味深いセッションも開催されている。初日には「アジアをリードするGenAIに特化したチップメーカーとエッジ型LLMスタートアップが予測するAIの未来」と題したセッションが開催された。生成AIはOpenAIやNVIDIAといった巨大企業がリードする業界となっているが、スタートアップにもまだまだ多くのチャンスがある。端末側での情報処理をして、情報漏洩やコストを抑えるエッジAIを開発する日本のスタートアップIdein(イデイン)や、汎用GPUのNVIDIAに対してAIに特化した高性能半導体を開発する韓国のRebellions(リベリオン)などがこのセッションには登壇し、スタートアップの参入余地があることを示してくれた。

 スタートアップの後輩に向けて、本当に役立つ“ぶっちゃけ話”をするセッションはこうしたイベントの名物。内容が内容だけに「オフレコ厳守!記事化しないでね」という制約があるので詳しくは言えないが、先輩起業家や大企業となった元ベンチャー企業の関係者、OBなどによる体験談は、話の内容がこれからのスタートアップの経営に役に立つことはもちろん、そこに登壇する面々から「成功する企業にはユニークな人材がそっている」と、人材の多様性の大事さも教えてくれる。

 日本のスタートアップエコシステムには、まだまだ人もお金も足りない。これまでは取り込めていなかった、エコシステム外の資金や人材との接点を広げる機会やノウハウを得る催しとして機能しつづけることを、今後もIVSには期待したい。

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