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ゲーム業界で生成AIはどう使われているのか〜東京ゲームショウ2024 

東京ゲームショウ2024 会場エントランスホールにて

東京ゲームショウ2024 会場エントランスホールにて

 東京ゲームショウ2024(以下、TGS2024)が、9月26日から29日までの4日間(26日、27日は報道・業界関係者向けのビジネスデイ。28日と29日は一般公開日)、千葉県千葉市の幕張メッセで開催されている。今回のテーマは「ゲームで世界に先駆けろ。」

 今年のTGS2024では、過去最大規模となる985社が出展している。海外は、44国・地域から535社。国内は450社の出展で、5年ぶりの大型ブースでの出展となるソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)など、日本の主要ゲームメーカーも揃って参加しており、初日から非常に多くの来場者で賑わっていた。

 新作、話題作などのゲームの話題は専門のメディアに譲り、今回は「ゲーム業界と生成AI」という視点からいくつかの展示を見て、それぞれの話を聞いた。

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 ゲーム業界における生成AIの利用方法として、現在想定されている用途は「翻訳」と「画像作成」であるようだ。

 ゲームにおける翻訳とは、各国語にゲームキャラクターのセリフなどを翻訳するというもの。

 ゲームのディバックを手掛けてきた株式会社デジタルハーツ(東京都渋谷区)は、新たな取り組みとして生成AIを使った翻訳を試みている。

 ゲームの翻訳では、キャラクターの性格や感情をセリフに反映させる必要がある。最初に各キャラクターの性格や属性を登録したうえで、生成AIによりセリフの翻訳を行う。各社の生成AIには得意不得意があるということで、5種類ほどの翻訳案を生成し、良さそうなものを人の手で組み合わせるという。完全に生成AI任せるにはまだ、精度に問題があるとのこと。

 画像作成の方では、キャラクターの原案や背景となる画像を、生成AIに任せるという試みが進められている。

 これはゲームに限らない話だが、玩具や自動車などの工業製品のデザインを検討する際に、原案となる画像が数多く必要になる。この画像作成をAIが受け持ってくれれば、作業効率が上がる。ただ、生成された画像に盗用など権利の問題はないか、あるいは差別につながる倫理的な問題がないかなど、利用する側としては気がかりな点が多いのも事実だ。

「いま、ゲーム開発に生成AIは使えるか?」株式会社Too

「いま、ゲーム開発に生成AIは使えるか?」と大書されたブースは、映像編集機器やソフトを販売する株式会社Too(東京都港区)だ。こちらではアドビの画像生成AI『Adobe Firefly』を使った業務効率化を提案していた。 Adobe Fireflyで生成されたものは、権利関係の問題はなく商用利用可能で、権利侵害の訴えがあった際には補償が受けられる。

 ブースで聞いたところによると、導入・利用実績は「本格的になるのはまだこれから」ということだが、ブースに足を運び、画像生成AIに興味を示すのは「ゲーム業界の方だけではなく、クルマなどのメーカーさんも」と幅広い層が関心を示していると話してくれた。

 この先は、大手ゲーム会社のゲーム開発環境にもAIが組み込まれていくと予想し、対応を進めているのがデーターセンター世界大手の日本法人エクイニクス・ジャパン株式会社だ。同社はゲーム開発などの用途に向けてデータセンターとAWSやAzureなどのパブリックAIが利用できる環境をセットにしたプラットフォームの提供をしている。

 このプラットフォームは、プライベートな環境でのAI利用と併用することを想定しており、そうしたAI利用環境を整えるためのデータセンターを2024年9月に都内品川地区で開設する。大量のGPUをフルに稼働させる環境には、電力や冷却機能にこれまで以上のものが必要になるという。

 生成AIのユニークな利用例としては、麻雀、囲碁、将棋ゲームにAIエンジンを供給している株式会社シルバースター(岐阜県岐阜市)の例が面白かった。

右手前がシルバースタージャパン

 囲碁や将棋が強いAIというのはよく話題になるが、同社が製品化しているのは「弱いAI」だ。手を抜かれているよう感じさせず、ユーザーに寄り添い「人間にうまく負けて」あげることができる。

 さらに同社では言語化が得意な生成AIの特徴を活かし、AIが逐次解析する対局のデータを一手ごとに言語化して解説させることもできる。これにより「プロに指導を受けているかのような」体験ができる。ゲームのAIエンジンと生成系AIをうまく組み合わせると、楽しみ方が広がる一例だ。

 LLM・生成AIの利用は、開発、業務サポート、顧客対応などで今後利用が広がるだろう。ゲーム業界も例外ではない。ただ現時点では、限定的な使用、お試し利用、提案中などのレベルが多く、本格的な導入、利用はまだもう少し時間がかかりそうだった。

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