ドイツ清掃機器大手ケルヒャーの日本法人株式会社ケルヒャージャパンとドローン技術のスタートアップ株式会社スカイコードは、ドローンと高圧洗浄技術を融合させた空飛ぶ高圧洗浄機、「高圧洗浄ドローン」を開発した。足場や高所作業車を使わず、高所洗浄ができるこのシステムは、スカイコードが設計・製造したケルヒャーの高圧洗浄機用のアダプターを搭載している。
高圧洗浄ドローンは、地上に設置したケルヒャーの洗浄機からホースを介して給水し、ドローンに取り付けられた噴射ノズルから放水する仕組みだ。ドローンに洗浄機本体を搭載するのではなく、軽量な構成とすることで、安定した飛行と作業効率の両立を実現している。接続する高圧洗浄機は専用商品ではなく、市販されているケルヒャーの高圧洗浄機が利用できる。またドローンについても条件を満たせば様々な機体が利用可能だ。現在はペイロード(最大積載量)3kgのドローンに、約2kgのアタッチメントを取り付け運用。洗浄可能な範囲については、ドローンの飛行範囲が地上の高圧洗浄機から半径約50メートルとなり、そこから放水し、更に約20メートル先まで洗浄できることを検証で確認しているという。
高圧洗浄は、洗浄する対象物によって最適な水圧やノズルが異なる。こうして点については、自由の女神など世界各地で文化財を洗浄した実績があるケルヒャーがそのノウハウを提供する。また、作業を安全かつ効率的に行うにあたって、産業用ドローン運用の実績豊富なスカイコードが「オペレーションガイド」を整備し、プロパイロットによる実践的な操縦・運用研修プログラムを実施する。
高圧洗浄ドローンにより、従来であれば足場やクレーンを用いていたような高所での洗浄作業が、空中から短時間かつ安全に実施できるようになる。屋根や高所壁面、太陽光パネルなどの洗浄だけでなく、コンクリート擁壁での雑草除去、冬季の屋根除雪といった作業についても実施可能なことがすでに確認されており、その用途は広い。
人手不足と高齢化によって、高所作業の洗浄や除雪を担う人材は今後更に減少する。現場の安全性向上と人手不足の課題解決を後押しする技術としてドローンと高圧洗浄機の組み合わせ実施例は、これまでにもいくつか存在するが、高圧洗浄の大手ケルヒャーの参入で、この組み合わせはより実用的なものとなるだろう。