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業界の可能性も課題も全部集合!スタートアップの祭典「IVS2025」始まる

StartupMarketの様子(主催者提供画像)「

StartupMarketの様子(主催者提供画像)「

 スタートアップの起業家や投資家、関連する事業会社などが集う日本最大級のスタートアップカンファレンス「IVS 2025」(主催:IVS KYOTO実行委員会)」が7月2日から4日まで京都市で開催されている。

 2007年の初開催から32回目となった今回、67カ国から1万2千人以上の来場が見込まれている。開催期間中のサイドイベントも年々増えており、関係者によると500を超えるイベントが行われる予定になっている。さらに今年は、7月5日(土)に新たに小中高生を対象とした特別企画「IVS Youth」の開催も予定されている。

 ここでは初日に見たメインイベントの会場や、サイドイベントの様子などを紹介したい。

わかりやすくなった会場、注目のエリアは

IVS2025 Welcom Remarksに登壇した左からIVS代表の島川氏、西脇京都府知事、松井京都市長

 今年の会場は昨年からは変わっており、京都市勧業館「みやこめっせ」とロームシアター京都。一昨年の会場と同じ場所にもどったことになる。昨年は京都市の中心部からは少し離れた場所が会場だったが、やはり市内中心部からのアクセスが良いのは何かと便利だ。

 また、例年混雑する会場内もレイアウトも工夫がみられ、分野(AI、ディープテック、エンタテインメント)やエリア(グローバル、ジャパン)などによって、7つのゾーンに区分けされており、パネルセッションも概ねそのテーマと関連するゾーンにあるステージで行われるので、スッキリとわかりやすい。

 さらに、今年から大きなスペースを割いて開催されているのが「IVS Startup Market」だ。このエリアには、選ばれた約300社のスタートアップが毎日約100社ずつ、入れ替わりで出展している。出会いチャンスは1日だけだが、それ故か、出展スタートアップの熱量は高いように感じられた。

 3日間で198(主催者発表の資料による)もあるパネルセッションも充実している。今回の特徴は、AIに関するセッションが多数用意されていること。また、IPO以外のエクジット手法としてスタートアップ界隈でも注目されているM&A関連のセッションも多い。初日に行われたM&Aのセッションをいくつか聞いてみたが、起業家や投資家だけでなく、事業会社の成長戦略としてM&Aを検討している向きにも有用な話題が展開されていた。

 そして、日本の成長産業として有望視されているエンタテインメントのゾーンも設定され、ゲーム、音楽、映像制作などエンタメ業界各方面からの参加者の話を聞くことができる。

 只今すぐに「エンタメ業界での起業は有望」ということではないが、これまでスタートアップ・エコシステムとエンタメ業界は“近いようで重ならない”関係だったので、このエリアは今回の注目エリアかもしれない。

今回も多くのサイドイベントが

サイドイベントの様子

 主催者が開催するメインイベント(今回の場合はIVS2025)の参加者や出展社などが、イベント近辺の場所と日程で開催するのがサイドイベントだ。メインイベントの参加者は、ついでに自ら興味のあるサイドイベントに参加することができる。また、イベントの出展社は会場外でサイドイベントを開催することにより、ネットワークを拡大することができる。開催都市もサイドイベントが増えることで期間中のにぎわいを創出できるので「三方よし」の催しだ。

 そんなサイドイベントのひとつをのぞいてみた。「これから起業したい人集まれ!グローバルVCから見る起業の秘訣」と題された催しは、立命館大学朱雀キャンパスの一角で行われた。スピーカーは株式会社DGインキュベーションの堤世良と工藤高生の2名で、立命館大学の起業・事業化推進室の協力を得て実施された。参加者はタイトルの通り、これから起業をしたいと考えている人で、場所の関係から立命館大学の学生が大半を占めていた。

 最初に工藤から起業に至るステップや、起業前後でVCからどのような支援が受けられるのかなどが具体的に語られた。起業への具体的なアクションが「まだだ」という人にとって、最初に訪ねるべき窓口がどこなのかを知ることの意味は大きい。続けて堤からは「インパクト投資」など投資の世界をもう少し詳しく解説。起業家予備軍である参加者はやはり、社会貢献にも興味があるようで、収益性の確保やESG投資との違いなど突っ込んだ質疑が行われた。

課題にも積極対応

 ところで、最近世間でも注目を集めた日本のスタートアップ界隈の課題として「ハラスメント」の問題がある。IVS2025では、イベント内でのハラスメントに対応するための相談窓口を設けている。さらに、イベント参加者向けのアンチハラスメント研修会を期間中に複数回実施している。主催者側のスタッフ、サイドイベント開催者向けにも同様の研修を実施しているので、関係者のかなり多くの人が、今回のIVSを通してハラスメントの問題に意識を向けることになった。こうした取り組みはIVSが単なる展示会、ネットワークキングの場だけではなく、課題に向き合う場でもあるという姿勢を示すものであり、業界の関係者が集まるイベントの新たな可能性を示してくれたものであると言えるだろう。

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