2025WAICで展示されたGPU群で構成されたディスプレイ=提供写真(c)CNS
【東方新報】国際最先端レベルを意識して開発された中国製の高密度AIコンピューティングシステム「Shanghai Cube」が、2025年の世界人工知能大会(WAIC)で初めて披露された。この製品は、中国製の演算インフラにおける「大型統合システム」の空白を埋めるものであり、チップからシステム全体まで、すべてを自国技術で制御・統合。中国が世界の演算競争で主導的地位を確立するための大きな一歩となることが期待されている。
Shanghai Cubeの開発には主に上海市を拠点とする複数の企業が参加し、国産のコンピューティングサプライチェーンの構築という観点からも大きな意味を持つ。
2025WAICが開催された上海世博展覧館の展示会場では、GPUサーバーが一面に並んだ「高性能演算システム展示」が来場者の注目を集めていた。これがShanghai Cubeであり、研究機関と先端技術企業による共同開発の成果だ。
Shanghai Cubeは、「ゼロからの設計」と「自社開発」に基づく、ソフトウェアとハードウェアを高いレベルで融合させたAI演算プラットフォーム。単なる部品の組み合わせではなく、高性能GPU、ネットワークスイッチ、液冷システム、OS、スケジューラといったすべての基幹構成を、自国の技術で精密に最適化し統合している。
実証データによると、Shanghai Cubeは標準サイズのサーバーラック1台に最大128枚のGPUモジュールを搭載でき、演算密度と処理性能はいずれも世界水準に達している。初号機はすでに上海・復旦大学(Fudan University)張江キャンパスに設置済みで、間もなく量産体制に入る予定。大規模言語モデル「DeepSeek-671B」などの推論・学習にも対応し、科学計算や演算スケジューリングの主要プラットフォームとも高い互換性を持っている。
開発に関わった企業のチーフアドバイザー、陳達亮(Chen Daliang)氏はブースで次のように述べた。
「Shanghai Cubeは、GPU、ストレージ、ネットワーク、管理ノードなどのハードウェアと、OS、演算プラットフォーム、AI開発基盤などのソフトウェアを一体化した、次世代の高性能演算システムです。主要構成要素のすべてを、中国企業が自力で設計・製造しており、完全な国産統合を実現しています」
Shanghai Cubeと、それを支える協業・開発体制は、中国が国際AI競争の中で優位性を獲得するうえで重要なモデルと見なされている。同日、WAIC2025の会場では「智聚東方・世界とつながる(東方の叡智、世界と響き合う)」をテーマとしたエコシステム・フォーラムも開催された。
本フォーラムは、「国産技術の垂直統合」と「上海・香港の連携による国際展開」を中核テーマに掲げ、産業界・学術界・政府関係者など幅広い関係者が参加。国産AI演算技術の発展と、国際的な協力体制の構築について活発な議論が交わされた。
香港科技大学(The Hongkong University of Science and Technology)副学長の鄭光廷(Zheng Guang)教授、上海交通大学(Shanghai Jiao Tong University)人工知能学院の王延峰(Wang Yanfeng)執行院長(同大学産業イノベーション研究所理事長)など、多数の研究者や企業経営者が基調講演を行い、学術と産業の垣根を越えた協働や持続的なエコシステム形成の方策について意見を交換した。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件