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「ウェブサミット」開幕、リスボンに世界の技術者集結

ポルトガル・リスボンで開催の「ウェブサミット」に出展した中国のロボット開発企業「ユニツリー」のブース(2025年11月10日撮影)。(c)PATRICIA DE MELO MOREIRA:AFP

ポルトガル・リスボンで開催の「ウェブサミット」に出展した中国のロボット開発企業「ユニツリー」のブース(2025年11月10日撮影)。(c)PATRICIA DE MELO MOREIRA:AFP

【AFP=時事】ポルトガル・リスボンで10日、年次開催の見本市「ウェブサミット」が始まった。13日までの期間中、ハイテク業界のリーダーたちが、人工知能、ロボット、スタートアップについて議論を交わす。

 主催者によると4日間の日程で開催される「ギークのためのダボス会議」には、スタートアップ2500社と投資家1000人を含む、世界150か国から7万人以上が訪れるという。

 10日には、マイクロソフトが英国のスタートアップ「Nscale」と共同でポルトガルに100億ドル(約1兆5500億円)を投資し、AIデータセンターを建設すると発表し、大きく注目された。マイクロソフトは「欧州におけるAIコンピューティング能力への最大規模の投資の一つ」とし、またNscaleのダニエル・バースハースト最高製品責任者(CPO)はAFPに「過去5か月間でAI分野の需要は急激に高まっている」と語った。

■中国への関心

 参加者の多くは、中国が技術大国として台頭する動きに関心を寄せている。「これら技術の最前線にいる世界のコンピュータ科学者やコンピュータエンジニアの半数は中国にいる」とAFPに語ったのは、米半導体大手エヌビディアでシミュレーション技術を担当するレブ・レバレディアン副社長だ。同社のジェンセン・フアン最高経営責任者(CEO)は今月、次世代人工知能の競争で勝利するのは中国になるだろうと発言した。

 エヌビディアの最先端チップは輸出規制のため中国では利用できない。しかしレバレディアン氏は、「もし彼らを排除しようとすれば、彼らは同じものを開発する方法を見つけるだろう」と述べ、「われわれは彼らと協力し、彼らの仕事から恩恵を受ける機会を失うことになる」と続けた。

 ウェブサミット主催者のパディ・コスグレーブ氏も10日の開会イベントで、「西側の技術支配の時代が終わろうとしている」と語っていた。

■ロボットと自動運転車

 中国のロボット開発企業「ユニツリー」社は10日、人型ロボットのデモンストレーションを実施した。そしてそのすぐ近くでは、中国の3Dプリンターメーカー「バンブーラボ」が、専用ソフトを使わず、生成AIにテキストで指示を与えるだけで、数時間で実物を作り出せる3Dプリンターを展示していた。

 こうした展示は、AIが「純粋なソフトウェアや抽象的な領域から、物理的な世界へ移行している」ことを示していると、エヌビディアのレバレディアン氏は述べた。この分野での米国からの講演者には、アマゾンロボティクスのボス、タイ・ブレイディ氏、ボストン・ダイナミクスのロバート・プレイター氏などが含まれている。

 米ウーバー・テクノロジーズの社長兼最高執行責任者のアンドリュー・マクドナルド氏は、同社がエヌビディアと自動運転車で協力する準備を進めている中で、「労働力主導の産業から、完全にロボット主導へと移行する」ことについてステージ上で考察した。

 グーグルの親会社アルファベット傘下のウェイモは、来年、英ロンドンに自動運転車を導入すると発表。バイドゥやポニーAIを含む複数の中国メーカーも、自動運転車の欧州での展開を視野に入れている。

■AIとチップ

 覇権をめぐる争いは、生成人工知能において最も激化する可能性がある。11日の講演者である米国のチップ開発企業「クアルコム」のクリスティアーノ・アモン最高経営責任者は、セクターのトップを走るエヌビディアとAMDに対抗するAIチップを発表した。アモン氏は、将来の携帯電話を「AIを実行する大きなプロセッサ」と語った。

 10日の開会イベントでは、スウェーデンのスタートアップAI企業「ラバブル」に視線が集まった。ラバブルは、コーディング経験のないユーザーでも、チャットボットを介してアプリやウェブサイトを作成可能にする技術「バイブコーディング」を展開する企業の一つだ。

 同社のアントン・オシカ最高経営責任者は、バイブコーディングツールを使い、日々10万個の新しい製品が構築されていると話した。

■技術主権

 欧州連合(EU)の欧州委員会でデジタル問題を担当するヘンナ・ビルクネン氏は、ハイテク市場における「競争は激化しており、本当に厳しい」と参加者に向けて語った。

 貿易と政治的緊張が高まる中、EUは技術主権をめぐり不安定な状況に直面している。同氏はAIに取り組む域内8000社スタートアップに触れつつ、公共調達で欧州製品を優先するルールの導入を主張し、「重要な技術に関して、一つの国や一つの企業に依存しないことが重要だ」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件