
NASA のアルテミス計画の頻度の増加を示すグラフィック(米航空宇宙局(NASA)サイトより)
NASA(米航空宇宙局)は現地時間2月27日、有人月探査プログラム「アルテミス計画」のスケジュールを抜本的に見直すと発表した。近年、相次ぐ延期や技術的課題に直面している現状から、新たなミッションを追加することで安全性を高め、2028年までの米国人による月面着陸を確実にする狙いがある。
NASAのジャレッド・アイザックマン長官は会見で、今春に予定されている月周回ミッション「アルテミス2」と、最終目的である月面着陸との間に、新たな試験ミッションを組み込む方針を明らかにした。当初、月面着陸を目指していた「アルテミス3」は、月面には降りずに地球低軌道でのドッキング試験などを行う内容に変更され、実際の着陸は2028年の「アルテミス4」以降に持ち越される。
アイザックマン長官はこの戦略的修正について、1960年代のアポロ計画が段階的なミッションを経て成功に至った経緯を引き合いに出し、「3年おきの打ち上げでは技術が衰退してしまう。原点に立ち返り、運用の練度を上げる必要がある」と強調した。
計画変更の背景には、現在準備が進められている有人月周回ミッション「アルテミス2」の難航がある。半世紀ぶりとなる月への有人飛行として期待されているが、推進システムの不具合やヘリウム漏れといった技術的トラブルに見舞われ、打ち上げ時期は当初の予定から遅れ、現在は早くとも4月以降の見通しとなっている。
NASAは今回の見直しを通じて、2028年中に最大2回の月面着陸を実施する可能性も視野に入れている。アポロ計画でのライバルは旧ソ連だったが、今回は中国の猛追を受ける中、米国は慎重かつ加速的なステップを踏むことで、宇宙開発における優位性と安全性の両立を図る構えだ。