2010年に日本初のアクセラレータープログラムとして始動した「Open Network Lab」が、29期(29th Batch)のプログラム参加者を現在募集中(締切は7月19日正午)だ。
スタートアップを増やし、社会課題解決と経済成長を図ることは日本政府の方針でもある。起業することは昨今で大いに歓迎されている。「こんなアイデア(技術)で起業したらうまくいくのじゃないか」という考えが頭をよぎった経験がある人は少なくないと思われるが、だからといって「よし創業するか」とはならない。
そもそも、就職して会社員などの勤め人になるのは、決まった手順があり、誰でもその入口に立つ事はできるが、「起業」となると、どこがその入口なのか見当もつかない。
そこで「Open Network Lab(以下、Onlab)」だ。ここがスタートアップへの入口になる。まだ、入口に立つ準備ができていないと慎重に考えすぎる必要はない。Onlabに集う(プログラムに参加する)人やチームがその入口に立った時の状況はさまざまだ。すでに会社組織を作り上げ、まだ金額は小さいものの売上もあるといった参加者がいる一方で、熱意と自信はあるが、事業アイデアは今ひとつ具体性に欠けるといった参加者もいる。
プログラムに採択されると、起業経験豊富なメンターからの数多くの助言を受けることができる。また、自ら頭を働かせ作り上げた事業仮説を、手を動かし足で稼いだ検証データとその分析結果をもって精緻化し「なにをすべきか」を明らかにする。そこまでやり尽くすことで「この先やることはこれでいいのか」という迷いを吹き払うことができる。そして、そこで作り上げた事業、将来性とその根拠を3カ月の最後のデモデイで披露する。
「核となるブレない事業価値を創り上げる」というのがOnlabのプログラムに参加する価値だが、ここで「核」が決まることで、プログラムを卒業した後は、事業を拡大に注力できるようになり、その結果SmartHR(第10期)のようにユニコーンとなったOnlab卒業生もいる。
さて、前置きが長くなったが、このOnlabは今回の募集から少しリニューアルがなされている。スタートアップへの入口であることはこれまで同様だが、当面目指す市場の違いによって2つの走路(トラック)が用意された。
ひとつは日本国内でサービスを展開し、成長を目指す「JAPAN Track」。これまでもプログラムの卒業生が手掛けたのは「まずは国内市場」というケースが大半なので、ここでは従来のプログラムと同様のサポートが用意されている。
もう一つが、「Day1からグローバルに事業を展開する会社向けのプログラム」であるGLOBAL Track 。つまり「起業したその日から目指すは全世界市場」という創業者の目標にあわせたプログラムで、サポートメニューもグローバル対応できるようなものが準備されている。
少子高齢化が進み人口減でマーケットが縮小する日本にとどまっていては、世界を変えるようなサービスを手掛けるのは難しい。そう考えるなら創業時から、作り上げる会社やビジネスのすべてをグローバル対応にしておく必要がある。また、スタートアップに対する投資額は日本より米国の方がはるかに大きい。さらに、生成AIの例を見れば明らかなように、イノベーションの主要なプレイヤーは米国西海岸などの特定エリアに集まっており、その場に飛び込んだほうが成長のチャンスが多い。
GLOBAL Trackでは、世界を目指す志を持つなら海外のどこの国のスタートアップでも参加を歓迎するという。グローバル展開のノウハウ、拠点、人脈を持つアクセラレーターは米国以外では多くはない。デジタルガレージは、サンフランシスコなどに拠点を常設している。それは一般の日本企業の海外支店とは趣が異なり、現地のスタートアップエコシステムに組み込まれた場である。
日本にスタートアップを呼び込むための施策や規制緩和は数多く進められているが、日本を発射台にグローバル展開するためのアクセラレータープログラムは珍しいはずだ。このチャンスを上手く生かさない手はないだろう。
【参考】「Onlab Seed Accelerator Program 29期」募集概要
募集期間:2024年6月25日(火)〜7月19日(金)正午締切
対象:国籍、年齢、性別は不問
支援内容:
JAPAN Track
GLOBAL Track
参加条件:
募集テーマ:FinTech、Commerce、Travel、Smart City、Climate Tech、Vertical SaaS、Technologyを注力分野とする、テクノロジーで未来を切り開くあらゆるビジネスが対象
スケジュール: