【東方新報】中国の研究チームが、細胞培養した肉と主食の穀物を合体させた革新的な食物である「鶏肉米」と「豚肉米」を開発し、食の未来に向けて、まさに一口サイズの進歩を踏み出した。
「中国肉類食品総合研究センター(China Meat Food Comprehensive Research Center)」と「北京食品科学研究院(Beijing Academy of Food Sciences)」が主導するこの画期的な研究は、鶏肉と豚肉の細胞を米やその他の穀物で直接培養するものだ。
このプロジェクトのチーフサイエンティスト・北京食品化学研究院の王守偉(Wang Shouwei)院長は「これら合体食物は、白米、玄米、紫黒米など、普通の穀類と同じように見える。しかし、調理後は米と肉の両方の風味がする」と紹介する。
王院長は「味覚だけでなく、この技術は栄養学的にも素晴らしい可能性を秘めている。タンパク質、アミノ酸、食物繊維、炭水化物、その他の栄養素の含有量を正確にコントロールすることができるので、これらを特定の食事ニーズ、食餌療法にも適用することができる」と、この食物の利点を強調する。
重要なイノベーションは、米類を「細胞培養の足場」として使うことにあるという。従来、細胞培養食肉の生産は、高価な合成キャリアに頼っていた。
王院長によると、合成キャリアを使った培養は、しばしば食品安全上の懸念を引き起こし、また生産コストが膨れ上がることが問題だった。一方で、米類は、食物繊維や他の有益な栄養素を豊富に含む天然の食用代替物であるところが利点となる。
培養プロセスでは、細胞の増殖に適した環境を作り出すため、まず米類の品種を前処理する。例えば、豚肉米は、豚の筋肉と脂肪の細胞を別々に、改良された米粒の上で培養することによって製造される。その後、これらを組み合わせて最終製品が作られる。
江南大学(Jiangnan University)の教授で同大学の未来食品科学センターの副主任の周景文(Zhou Jingwen)氏は「この開発は重要な飛躍だ。鶏肉米と豚肉米は、細胞培養食肉研究の新たなフロンティアに立った、中国はこの分野のリーダーになる準備が整った」と高く評価している。
研究チームは、近い将来には大量生産が可能になると楽観的に見ているという。
フィットネス・コーチのヤオさんは、その可能性に興味をそそられている。「高タンパク、高繊維、ヘルシーな炭水化物、私のような人間にはぴったりです。値段の問題もあるが、ぜひ試してみたい」と話している。
しかし、ヤオさんは世間に受け入れられるには一定の時間が必要だろうとも思っている。「新しい食物コンセプトゆえに、人びとは好奇心を持ちつつも慎重になるでしょう。このような新種の料理が食事の主流になるには、やはり時間がかかるかも知れません」、ヤオさんはこう予想する。【翻訳編集】東方新報/AFPBB News|使用条件