コロッサル・バイオサイエンシズは公開した生後15日の「ダイアウルフ」の赤ちゃん(撮影日不明)。(c)Colossal Biosciences:AFP
【AFP=時事】米テキサス州のスタートアップ企業「コロッサル・バイオサイエンシズ」が今週、約1万2000年前に絶滅した動物「ダイアウルフ」の「復活」に成功したと発表し、誕生した3頭の映像を公開した。
同社はウェブサイトで「人類史上初めて、絶滅した種の復活に成功した」と主張している。公開された映像や画像はSNSで拡散。科学者からは映画『ジュラシック・パーク』をほうふつとさせるといった反応も出ている。
コロッサル・バイオサイエンスのチームは、ダイアウルフの化石(13,000年前の歯と72,000年前の頭蓋骨の断片)2点からDNAを抽出し、現存するハイイロオオカミのDNAと比較。研究の結果、約99.5%が同じであると結論付けた。
チームは、ハイイロオオカミの血液細胞にダイアウルフの遺伝子の一部を挿入しDNAを組み替えた。計20の改変には「CRISPR-Cas9」と呼ばれる遺伝子編集技術が用いられた。遺伝子が組み替えられた細胞をハイイロオオカミの代理母体に着床させ、ダイアウルフ3頭を誕生させた。
今回の発表について、ダイアウルフのDNAを研究したことがある進化分子生物学者のアラン・クーパー氏は「この主張は大げさすぎる」とAFPにコメントした。「(この研究結果は)私があなたにネアンデルタール人の遺伝子をいくつか入れて、あなたが毛深くなり筋肉が増えたとして、(その状態で)あなたをネアンデルタール人と呼ぶようなものだ」「それはネアンデルタール人ではなく、ただの毛深い人間だ」と指摘した。
誕生した3頭が本当にダイアウルフなのか、それとも単なる遺伝子改変されたハイイロオオカミなのかという点について、同社の最高科学責任者ベス・シャピロ氏は「それは言葉の定義の問題であり、哲学的な議論でもある」と述べた。コロッサル・バイオサイエンシズは今後、この技術をドードーやマンモスといった他の絶滅動物にも応用する予定だという。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件