米国フェイスブックが主導する暗号資産「リブラ(Libra)」は、12月1日その名称を「ディエム(Diem)」と変更することを発表した。「ディエム」ラテン語で「日(Day)」を表す言葉。この名称変更にあわせて、プロジェクトの推進母体である「リブラ協会」も「ディエム協会」と名前を変えた。
この“看板の架替え”は、2019年6月にリブラ構想が発表されて以来、各国の中央銀行、規制当局から厳しい目を向けられてきたこのプロジェクトへの風当たりを和らげる目的があると見られる。米国の民間企業であるフェイスブックが主導する印象を薄め、運営組織の独立性をアピールする狙いだ。
リブラは当初、ドルやユーロなど複数の通貨を裏付けとして発行することを想定していた。しかし法定通貨の枠を超えるデジタル通貨が流通することによって、既存の金融システムの安定性が損なわれることを危惧した各国の金融関係者が相次いで構想への反対や危惧を表明。2020年4月にはドルなど単一通貨を裏付けとして発行するという方針に転換し、反発をかわそうとしてきたが、GAFAの一員であるフェイスブック社への警戒もあり“リブラ”への風当たりの強さは和らぐことがなかった。
今回、ディエムへの名称変更にあたっては、独立性の強調とともに、規制当局との連携やコンプライアンスの強化に努めていることなどもアピールされている。英紙フィナンシャル・タイムズの報道によればディエム協会は、本部を置くスイスで当局に発行の免許を申請中で、早ければ来年1月にも米ドルを裏付けとする通貨発行の可能性があることを報じている。