バイオテクノロジー分野における世界最大級のスタートアップアクセラレーター「IndieBio」が2017年2月9日にサンフランシスコで開催した、デモデイに参加した。その様子を3本の記事に分けてレポートする。
IndieBioはSOS Venturesが運営し、サンフランシスコのダウンタウンに拠点を構える。アクセラレータープログラムに参加するスタートアップには、25万ドルの資金と実験用施設(BSL 1&2*1)を提供し、4ヶ月間にわたりサポートする。メンターには、Human Genome Projectの創始者であるGeorge Church氏(Harvard Medical School)や遺伝子検査キットを提供する23andMe共同創業者のLinda Avey氏を含む80名弱が名を連ねる。プログラムに応募したスタートアップのうち、実際に参加できるのは10社に1社程度という。アメリカでのバイオテクノロジースタートアップの盛り上がりぶりがうかがえる。10倍の競争を勝ち抜いて参加したスタートアップが4ヶ月間のプログラムを終えた後に、その成果を発表する場がデモデイである。
4回目となる今回のデモデイの会場は、サンフランシスコ市庁舎近くにある1915年にオープンした劇場のHerbst Theater。歴史の重みを感じる建物で、最先端のバイオテクノロジーに関する発表を聞くのは新鮮な体験だった。会場には200人を超えるベンチャーキャピタリストや報道関係者が集まった。
今回は13社のスタートアップがプログラムの成果を発表した。
メンター一覧はこちら
*1 BSL:biosafety level。細菌・ウイルスなどの微生物・病原体等を取り扱う実験室・施設の格付け。レベルごとに細かな取り決めがある。(参照:Wikipediaバイオセーフティーレベル)
各社の事業分野は、創薬、動物のケア、うつ病治療機器、アルコール依存症治療ソフトなど多岐にわたった。各社の発表の詳細は次回以降の記事で紹介するが、本記事では13社の概要を記載する。各社7分程度で発表を行ったが、サービスやプロダクト、対象としているマーケット規模や自社のポジショニング、今後の計画などをテンポよく話し内容がつかみやすかった。事前にかなり練習していることがうかがえた。資金調達中の会社は発表の最後に調達予定額を発表し、会場のベンチャーキャピタリストにアピールした。
発表終了後、登壇したスタートアップの関係者に「IndieBioプログラムは有効だったか?」と個別に聞いたところ、口々に「とても有意義で重要なプログラムだった」と答えた。具体的には、
資金提供:少なくともPoCを出すまでの資金が確保できた
物理的な実験場所:実験室が24時間使用可能だった
投資家やアドバイザーの紹介:このデモデイはもちろんその一環
の3点が挙がることが多かった。
インターネットのスタートアップと異なりバイオテクノロジーでは、化学実験が可能な設備を備えた実験室が必要になる場合が多く、自社では高額で購入できない実験装置も彼らが使える点は大きなメリットだ。
次回の記事では各社の発表内容を掘り下げて紹介する。バイオテクノロジーと一括りに言えど発表内容は多岐にわたる分野に及んだこと、ベイエリアのバイオテクノロジースタートアップの現状などについてレポートする。
DG Lab Facebook ページをフォローして記事更新の通知を受け取る
【イベント 告知】3月1日 ”BIO HACK THE FUTURE vol.1″ powered by 500 Startups Japan and DG Lab
本記事のデモデイの発表内容を動画上映しながら解説するイベントを東京で開催!
詳細・申し込みはこちら