Akili Interactive LabsでChief Commercial Officerを務めるLeRoux Jooste氏に、同社の取り組みと日本市場での展開について聞いた。聞き手はDigital Garage US, Inc.でコミュニティマネージャーを務めるJustin Hall氏。
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Justin Hall(以下、Justin):はじめに自己紹介をお願いします。
LeRoux Jooste (以下、LeRoux):ボストンにあるAkili InteractiveでChief Commercial Officerを務ておりますLeRoux Joosteです。私たちのソフトウェアエンジニアチームはサンフランシスコにいます。
薬の未来を想像してみてください。現在は、世界中に数え切れないほど多くの 人々が認知障害で苦しんでいます。ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子供や、うつ病、パーキンソン病、アルツハイマー病に苦しむ成人などです。
しかし、これらの病気に対する効果的な治療法はまだないのです。私たちは認知障害を治療するための新たなデジタルメディスン(編集部解説:デジタルコンテンツを用いて特定の疾患を治療する薬)を開発しています。 デジタルの介入が認知障害の治療に使える日はもうすぐそこまで来ています。
Justin:それらのデジタル医薬品はどのような形態をしているのですか?
LeRoux:それは楽しくもあり、繰り返しプレイしたくなるようなビデオゲームのようなものです。ただのビデオゲームに見えるかもしれませんが、実際はさまざまな要素が組み込まれています。
まず、患者が初めてゲームをプレイする時に、患者ごとにベースラインを決めます。つまり、ソフトウェアはADHDの子供の能力を判別し、ベースラインを決めて、1日30分、週5日の治療(ゲームのプレイ)を続けてもらいます。普通のビデオゲームは単純な作業を要求するもので、例えば運転するだけだったり何かを認識するだけだったりしますが、私たちのプロダクトは同時に複数の作業を要求します。
そして、ソフトウェアは個々の患者の本当に能力が出せること、別の言葉で言えば、認知制御や管理機能が働くことを理解して、その逆も理解します。
そこで適用能力のあるアルゴリズムが応用され、本来あるべき形の神経伝達の経路と異なる経路を経て、適切な刺激を与えることで根本的に伝達する経路を作ります。ADHDの子供は楽しみながらこの応用能力があるゲームをプレイし続けます。その結果、徐々にではありますが、その脳内の伝達経路を確固たるものにします。記憶力、判断能力、反射神経などに作用する要素がゲームに組み込まれているのです。
Justin:この技術はまさしくバイオテクノロジーですね。
LeRoux:はい、ソフトウェアを用いたバイオテクノロジーです。
Justin:日本はどういうマーケットだと考えていますか?
LeRoux:米国と並んで、日本でもデジタル医薬品が一般的になるべき国だと思っています。私たちの取り組みは、日本の多くの会社から注目を集めており、彼らとアライアンスを組んで展開したいと思っています。
Justin:最後に一言お願いします。
LeRoux:THE NEW CONTEXT CONFERENCEのようなフォーラムはいい起爆剤になります。私たちが次に求めているのは、今以上の投資であり、バリアを下げることであり、法整備です。今の私たちは、先駆者である以上に、今まで誰も踏み入れたことがない領域を進んでいる冒険家のようです。
会社、投資家、研究機関、法整備を行う政府 が皆で力を合わせて一丸となり、まさしく今起きようとしている革命を理解することで、Akiliに限らず他の次世代の医薬品を早く世に出せるようになると思っています。
Justin:本日はありがとうございました。