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アニメのように手から「波動」が発射!ARで進化するテクノスポーツのこれから

meleap CEO福田浩士氏(右)DG Lab VRAR CTOアディヤン ムジビヤ(左)

meleap CEO福田浩士氏(右)DG Lab VRAR CTOアディヤン ムジビヤ(左)

 アニメや格闘ゲームのように、自分の手からエナジーボールを打ち出して相手を倒す。また空間にシールド(電子防御盾)を作り攻撃を防御する。AR(拡張現実)によってそんな世界を可能にしたテクノスポーツ「HADO」(ハドー)は株式会社meleap(メリープ 東京都港区)によって世界15ヶ国に展開され、すでに述べ80万人が体験しているという。

チームで役割分担し、エナジーボールで相手を攻撃し、また防御して点数を競う

チームで役割分担し、エナジーボールで相手を攻撃し、また防御して点数を競う

 HADOは頭にヘッドマウントディスプレイ、腕にアームセンサーをつけて、プレイフィールドに上がる。3名で1チームとなり、「攻撃」「防御」「相手の盾破壊」などと役割を決めで80秒間対戦する。ゲームの模様を観戦したが、結構激しく身体を動かすので、体力も必要なようだ。

 このHADOについて、VR/AR分野に詳しいデジタルガレージ株式会社DG Lab VR/AR部門のアディヤン・ムジビヤCTOがmeleapを訪問、CEO福田浩士氏に、今後のビジネス展開などを聞いた。

* * *

福田:HADOは、テクノスポーツのひとつの競技と位置づけています。ARを使って「波動拳」などのような憧れの技を打ち合って戦うという新しいスポーツです。ただのゲームやアトラクションで終わらせずに、スポーツ競技として広めていきたい。そして最終的にはサッカーを越えるようなメジャースポーツに育てたいと考えています。今、手がけているのが施設ベースのビジネスで、渋谷、横浜などの店舗の他、15ヶ国に展開しています。

meleap CEO福田浩士氏

meleap CEO福田浩士氏

アディヤン:15カ国に展開しているということですが、どこが一番盛り上がっていますか。

福田:一番は日本。とくに東京、神奈川で、次にマレーシア、シンガポール、インドネシアですかね。

アディヤン:アプリもリリースされたそうですね。

福田:スポーツなのでスタッツ(統計値)が大事です。「撃った数の何%が相手に当たったか」「何発自分が(エナジーボールを)くらってしまったのか」「何メートル移動したか」など数値を見て振り返り、改善につなげられるようにと思っています。そのログ管理機能やアチーブメント(達成条件によって得られる証し)があり、さらにフレンド機能やランキング機能なども追加していく予定です。

「観戦ビジネス」に展開していきたい

アディヤン:ひとりひとりのナーチャリング(見込客から顧客化への働きかけ)だけでなくて、コミュニティを作ることを意図されているのですね。

福田:最先端の技術を使ってARスポーツを作っているんですけど、実際に提供するのはリアルで得られる価値。具体的にいうと、「そこに行くことで友だちができる」「仲間と一緒に楽しい時間が過ごせる」そういう価値をぼくらは提供しているので、コミュニティを盛り上げていきたいと思います。

DG Lab VRAR CTOアディヤン ムジビヤ

DG Lab VRAR CTOアディヤン ムジビヤ

アディヤン:ビジネスとしては今後どういうことを考えていますか?

福田:通信については、基本的に施設内のWi-Fiにつなげており、ローカルでデータ通信しております。しかし5G時代になると、遠隔対戦やストリーミング(実際の試合の動画配信)がやりやすくなるでしょう。現在の「施設ビジネス」と合わせて「観戦ビジネス」をスタートしていきたいです。見て楽しむ側を増やしていく。観戦者を楽しませて今までにないスポーツ文化を創れると思っていますし、協賛金、放映権だけでない、BtoCビジネスが生まれてくるのではないかと思っています。

アディヤン:会場に行ってディスプレイで見るのとは別に、インターネットで観戦する。そうすると、「自分はこのプレイヤーの目線で見たい」というのが面白そうですよね。

福田:まだ構想段階ですが「観戦者も試合に参加する」ということができないかなと考えてます。今までのスポーツではあり得ない。テクノスポーツならではのことでしょう。

アディヤン:「リアルタイム応援」とか「リアルタイムパニッシュメント(ゲームの罰)」があると面白いかもしれないですね。ちゃんとやってよ! みたいな(笑)。

新しいものをUIとして実装する場合、最初は誰も使いこなせない

アディヤン:エンドユーザー自身の「触覚フィードバック」(エンドユーザー自身の皮膚に振動などで刺激を与えること)が、これから来るのではないかと言われてますね。HADOを見た感じですと、プレイヤーが撃たれた瞬間、その感触が体験価値の向上につながると思うのですが、そういう実験はされていますか?

福田:実験はやっていますが、まだ実装に至っていません。触覚フィードバックは、単純に楽しいだけでなく、うまくなるために使っていくものでないと意味がないと考えています。楽しいことをやってもすぐ飽きてくる。そうではなく、うまくなるために触覚フィードバックを使う方がプレイの深さに繋がります。たとえば、この辺(手の上)に当たったのと、この辺(脇腹付近を指して)に当たったのでは、対応が違ってくるでしょう。そういうものがあるとうまくなっていくのでは。

HADOスクリーンの前で語り合う福田氏とアディヤン

HADOスクリーンの前で語り合う福田氏とアディヤン

アディヤン:よくわかります。あくまでもスポーツなんですね。たとえば、思い切り手を振らないと大きな波動が出せないとか「身体を動かす」ために何か試されているのですか?

福田:これってほんとに新しいUI(ユーザーとの接点)とUX(ユーザー体験)なので、そこが難しいところなんです。全く新しい体験にしてしまうと、はじめに誰も使いこなせないんですよ。どこの筋肉を使えばいいのか? どんな風に構えればいいのか? 直感的にわかりにくい。それをわかりやすくデザインして落とし込まないと理解されず、広がっていきません。

アディヤン:デザインっていろいろ考えても、ユーザーに渡した瞬間にユーザーが戸惑うこともありますよね。

福田:現実にエナジーボールを撃たれた経験のある人なんていないわけです(笑)。その本当の感覚は誰にもわからない。

アディヤン:今こんな感じ(両手を突き出す)でエナジーボールを投げますよね? これは手の向きをとっていますか?

福田:現状、手の位置というのはとるのが難しいため、頭の向きでエナジーボールの飛んでいく方向を決めます。外部にセンサーをおけばできるんですけど、HADOはシンプルなハードウェア構成ですぐにできる、ということを大切にしていますので、外部にはおいていないです。

アディヤン:まわりの幕(スクリーン)に特徴点がありそうで、それで認識しているのかなと思いました。

福田:そうですね。スクリーンは頭の位置を特定するためのものですね。手の位置は現在とっていないですが、とれるようになったらいろいろやれることが増えてくると思います。

アディヤン:今後ますます楽しみですね。本日はありがとうございました。

* * *

eスポーツの市場が広がり、本格的な国際スポーツ大会の種目に選定される動きも見せている。HADOをはじめとした、テクノスポーツが今後どのように進化し、市場がどれだけ広がっていくのか注目される。

藤木俊明 Written by
ライター、著者。有限会社ガーデンシティ・プランニング代表取締役。ICT関連から起業、中小企業支援、地方創生などをテーマに執筆活動を展開。著書に「マンガでわかる人工知能 (インプレス)」など。