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相続、薄毛、カラオケ…。テクノロジー活用は当たり前。マネタイズが問題〜Open Network Lab デモデイ

「オーディエンス賞」と「ベストチーム賞」は塩原優太氏の『e-相続』(株式会社マーク・オン)がダブル受賞

「オーディエンス賞」と「ベストチーム賞」は塩原優太氏の『e-相続』(株式会社マーク・オン)がダブル受賞

 株式会社デジタルガレージが主催するシードアクセラレーターブログラムOpen Network Lab(以下「OnLab」)。その18期生によるデモデイが2019年4月11日東京・渋谷区のデジタルガレージ本社内で行われた。

 この日はOnLab18期に応募があった91チーム(うち15%は海外)のうちから採択され、3ヶ月間のプログラムを終えた4チームが登壇した。

ダブル受賞の『e-相続』。特別賞は10代起業家に

 この日の審査の結果、各アワードは次の通り。まず会場の参加者が選ぶ「オーディエンス賞」と審査員が選ぶ「ベストチーム賞」は塩原優太氏の『e-相続』(株式会社マーク・オン)がダブルで獲得。そして、19歳でこの日最年少の登壇者だった清野三雅氏の『カラバト』(株式会社aboon)に「審査員特別賞」が授与された。

19歳の清野三雅氏の『カラバト』は「審査員特別賞」
19歳の清野三雅氏の『カラバト』は「審査員特別賞」

 「審査員特別賞」の清野氏は、10代の自分たちの世代はひとりカラオケにも抵抗はない。そして「フルコーラス歌うのは長くて大変なのでワンフレーズで充分」と自分たちの感覚をダイレクトに反映した「15秒ワンフレーズ」のカラオケバトルアプリ『カラバト』を提案。年長者世代のカラオケの常識を覆す気概が受賞につながった。

 そしてダブル受賞となった『e-相続』(イーソウゾク)は、煩雑な相続登記をオンラインで解決するサービス。超高齢化が進むわが国では死亡者数も増加していき、2040年には年間死亡者が160万人に達する。そこでの大きな問題のひとつが「相続」だ。相続する不動産の登記の手続きでは、戸籍謄本など「大量の書類集め」が必要で、こうした作業には平均3ヶ月もの時間を要するという。思い当たる節がある人も多いらしく、会場の参加客がうなずく様子も見られた。

塩原氏のデモの様子
塩原氏のデモの様子

また、社会問題となっている空き家問題との関係についても「空き家の6割は相続が原因」と塩原氏は説明する。その課題に対して、『e-相続』は「書類の一括取得」「申請書の自動作成」「オンライン登記申請」をワンストップで行うことができ、3ヶ月かかっていた手続きを2週間で行えるようにできるという。また、司法書士に支払う費用も大幅に削減できる。実際50名程度に利用してもらい、最短8日で登記申請完了した人もいるとのことだ。マネタイズとしては、相続した不動産の売却サポートを考えていると塩原氏は述べた。

 ダブル受賞の感想を聞くと、「自分たちがやってきた3ヶ月の活動が認められ、そこはとてもうれしいです。ただ、まだこれからのサービスなのでこれから伸ばしていきたいです」と話してくれた。また、「今は不動産の相続手続きがメインですが、売却をしっかりサポートして稼げるようにしていきたいです。そして相続って不動産だけじゃないですよね。銀行手続き、証券、年金、保険すべてをワンストップで手続きできるようにしていきたいです」とこの先の課題をあげた。

 この日は他にも、株式会社Homekuru(ホームクル)ヘンリー・ナイト氏が外国人向けの「くらし情報」を添えた物件紹介の閲覧と、簡単なステップで事前入居審査(可否判定)が行えるサービスを提案。また、株式会社エムボックスの金澤大介氏による“(AGA)男性型脱毛症自己管理アプリ”『HIX』の提案もあった。

* * *

 審査員からは、この18期に採択されたチームは傾向として「特定のテクノロジーの流れを追うのではなく、テクノロジーを組み合わせてビジネスを設計していこうと考えるチームが多かった印象がある」という総評があった。スタートアップでのテクノロジーの活用はもはや当たり前。シード期には、それを使ってどう稼ぐかをビジネスモデルとして練り上げる力と実行力が問われているのだ。

藤木俊明 Written by
ライター、著者。有限会社ガーデンシティ・プランニング代表取締役。ICT関連から起業、中小企業支援、地方創生などをテーマに執筆活動を展開。著書に「マンガでわかる人工知能 (インプレス)」など。