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原付バイクから自宅に給電 電源としてのクルマやバイクに注目〜第46回東京モーターショー

アウトランダーPHEVからV2Hに給電

アウトランダーPHEVからV2Hに給電

モーターショーではクルマからの給電でクリスマスツリーのイルミネーションを実施するイベントも
モーターショーではクルマからの給電でクリスマスツリーのイルミネーションを実施するイベントも

 東京お台場のビックサイトなどを会場として、2019年10月24日から11月4日まで開催されている第46回東京モーターショー。今回は、これまでとはいろいろと趣が変わってきている。会場も分散開催となり、有明エリアの東京ビックサイト西・南展示棟に加え、青海エリアでもトヨタなど主要メーカーの展示が行われている。出展社も自動車関連の企業に加え通信やIT関連の企業も参加。米国のCESや日本で先ごろ開催されたCEATECなどこれまで家電関連企業中心だった展示会に自動車関連企業の参加が増えてきているが、ここではその逆の現象が見られた。自動車産業界に大きな変革が起こっていることがここからも感じられる。

 自動車業界に迫りくる変革といえば、シェア、自動運転、EV化などさまざまなものがあるが、ここで注目したいのは「電気で動くクルマ」が増えてきたことによって、その可能性が広がりつつある「電源としてのクルマ」だ。

アウトランダーの車内にある1500Wのコンセント
アウトランダーの車内にある1500Wのコンセント

 2018年9月の北海道胆振東部地震では大規模な停電が発生した。その際に注目されたのがハイブリット車などに搭載されたバッテリーを非常用の電源として利用すること。ガソリン車に搭載されているバッテリーからも電気は得られるが、出力されるのは直流(DC)12V、これをインバーターで交流(AC)100Vにしても消費電力が大きい電化製品を続けて使うことは現実的ではない。しかし、EVやハイブリット(HV)車やプラグインハイブリット(PHV/PHEV)車には、容量の大きなリチウムイオン電池が搭載されている。こうした車に搭載されている電池からは大きな電力が取り出せる。実際、三菱のPHEV「アウトランダー」には100V/1500W対応のコンセントが装備されており、アウトドアでも家庭用の電化製品が利用できる。また、トヨタはプリウスなどのPHVでもオプション装備などで100V/1500W対応のコンセントが用意されている。

三菱自動車の電動DRIVE HAUSEのデモ
三菱自動車の電動DRIVE HAUSEのデモ

 さらに進んで、車載の電池を自宅につないだ蓄電池とみなして、日常的に電気を出入力し利用する「V2H(Vehicle to Home)」というシステムがある。昼間は太陽光で発電した電気で車の電池を充電し、夜間にその電力を使う。または電気料金の安い夜間電力を車の電池に蓄電し、昼間にそれを使うといったような方法で利用する。今回のモーターショーでは、三菱自動車がこうしたV2Hを実現するための機器をパッケージ化してリースするサービス「電動DRIVE HOUSE」を展示会場で披露していた。

 この夏、台風被害で発生した長期間の停電。自宅の屋根に太陽光発電設備があるにもかかわらず、非常時に自宅用の電力として利用できないという例もあったようだが、V2Hの設備があれば、長期間の停電時でもある程度は自給が可能となる。

左がAA-Cargo V2H
左がAA-Cargo V2H

 V2Hにつながるのは4輪車ばかりではない。同じくモーターショーの会場でお披露目されているaidea株式会社の電動バイク「AA-Cargo V2H」は、バイクでありながらV2Hに対応している。搭載されている8kWhのバッテリーをフル充電すれば、一般家庭の約1日程度の電気が供給できるという。また、このAA-Cargoの車両区分は原付一種となっており、なんと原付の運転免許で運転ができる。

あかりみらい社が展示していた車用延長コード「安心給電キット」
あかりみらい社が展示していた車用延長コード「安心給電キット」

 地震や台風などでの、長期間の停電などに備えるために、電源としての車やバイクを備えておくことは良い考えかもしれない。ただし、電池が積まれているからと言って、そこからすぐに家庭用の電力が取り出せるわけではない。V2Hには専用の機器・設備が必要だし、家電をつなぐコンセントが備わっていない車もある。さらに、ガソリンエンジンが動くことで給電する仕組みになっているバッテリーを非常時に使うのなら、ガソリンは多く入っているに越したことはない。「備えあれば憂いなし」だが、何を備えておけばいいのかは、車種によって異なるので注意が必要だ。

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朝日新聞社にてデジタルメディア全般を手掛ける。「kotobank.jp」の創設。「asahi.com(現朝日新聞デジタル)」編集長を経て、朝日新聞出版にて「dot.(現AERAdot.)」を立ち上げ、統括。現在は「DG Lab Haus」編集長。