マサチューセッツ工科大学のメディアラボの元所長で、株式会社デジタルガレージの共同創業者でもある伊藤穰一が、さまざまなゲストを招きデジタル変革について考えていくポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― 」。
今週はアーティストで東京芸術大学デザイン科准教授のスプツニ子!さんが登場した。伊藤穰一とスプツニ子さんは、NHKの番組「スーパープレゼンテーション」で共演していた仲。数年ぶりに再会したという二人は、当時を思い出したのか、こんな場面もあった。
スプツニ子:なんか今日すごくスーパープレゼンテーション感があって。今、『こんにちは、スプツニ子です』って挨拶しそうになっちゃったんですけど。
伊藤穰一(以下、伊藤):「『伊藤穰一です。』なんか、懐かしいよね。」
スプツニ子:「いや、懐かしいですよ。」
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MITでは、伊藤と同時期に助教授として同大学に在籍していたスプツニ子さん。現在は大学で教鞭を取る傍ら、精力的にアート作品を生み出している。今年10月には、日本で初めて開催されたNFTアートのオークションに作品を出品。作品は最高額の839万5000円で落札された。
スプツニ子:「『スプちゃんテクノロジー好きでアートもわかって、NFT絶対面白いから!』と以前から言われていて。私は私で、参加することで勉強できることもあるなと思って。実際すごく勉強になった。今回いくつかNFT用にデータも用意していて。日経新聞のニュースには、そのデータのことが書かれていないのだけど。具体的には、ムーンウォークマシンって作品の月面ローバーを3Dプリントできるようなデータも一緒にNFTにしました。あとその3Dモデルがあれば、今後メタバースにも置いてもらえると思って。これがどこまで日経新聞とかのニュースで伝わってるのかわからないけど、そういう実験をしましたね。 」
伊藤:「パンフレットとメディアだけ見てたら書いてなかったから『何を売ったのかな?』と思ったらそういうことだよね。それはすごく大事。だけどたぶん僕はメタバースがだんだん出来てきて、そうすると『これはメタバースができる前から買った作品だよね』みたいな。例えば僕も、メールアドレスにito.comってあるんだけども、これはウェブができる前に登録したアドレスで。で『ウェブができる前にみんな何でインターネット使ってんだ』と思うのと同じで、メタバースがないのに『なんでみんなNFTを買っんだ』っていうのは出てくると思うけども。でも、メタバースがちゃんとできてくると、今みたいにね。実は開くとこの作品が自分の部屋に置けるっていうのがすごく活きてくる。」
スプツニ子:「そうですね! だから落札してくれた人には『データもちゃんと使ってね〜!』って伝えたい。(笑)」
実際、伊藤も「Bored Ape Yacht Club」や「PunkCats」などの複数のNFT作品をコレクションしている。伊藤自身はさまざまなアーティストがさまざまな機能をどんどん付け足していくNFTアートという世界に可能性を感じているという。
伊藤:「結構NFTを使って、みんなが実験して(遊んでい)るのが、今後すごい大きなマーケットになったりする可能性を秘めている。遊びながら、何かそれをどういうビジネスになるかとか、どういうトレンドになるかっていうのを考えていくと、すごく面白いよね。」
スプツニ子:「すごく面白い。NFTは所有することや価値交換することのインフラになるなっていう感覚があります。」
この後も、NFTアートを使った様々なアイデアが番組では飛び出した。この話の続きは、JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―でお楽しみいただきたい。
【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】
番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけでなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFTをプレゼントしています。
https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0
【編集ノート】
伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。
https://joi.ito.com/jp/archives/2021/12/06/005743.html
■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」
##8 国内初NFTアートのオークションに参加したスプツニ子さんと考える、世界を変えるNFTの使い方とは