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【JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― Vol.29 】社会派クリエイティブ・ディレクターの辻愛沙子さんに伺う、広告の視点から見た女性の社会進出のカタチ

辻愛沙子氏(左)と伊藤穰一

辻愛沙子氏(左)と伊藤穰一

 マサチューセッツ工科大学のメディアラボ元所長で、株式会社デジタルガレージの共同創業者でもある伊藤穰一がナビゲーターを努めるポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST  ―変革への道― 」。今回の配信では、広告クリエイティブを通じて女性を取り巻く社会の問題に取り組むarcaのクリエイティブ・ディレクター、辻愛沙子さんがゲストとして登場した。

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伊藤穰一(以下、伊藤):辻さんはクリエイティブ・アクティビストと名乗ってらっしゃるようですが、最近こうSDGSだとかパーパス(Purpose)とか言葉をよく使うように、やっぱり社会的なアクティビズムがない会社ってダサいっていうイメージって今、ありますよね。

辻愛沙子(以下、辻):そう思います。しかし、日本企業は、意志を持つことがなかなかないな、と感じることがあります。企業やビジネスパーソンは、意志を持つことがそもそも大前提だと思います。パーパスとはその言葉通り、何のためにそのビジネスをやっていくのかという根底だと思うんです。ですが、なかなか意思を表に出すことがビジネスを加速させていくんだという感覚はなかなか持ちづらいのかなと、特にソーシャルの軸でいうと感じています。

 辻さんはこれまで、多くの企業とともに女性を軸とした広告クリエイティブを手掛けてきた。その時々の社会問題を取り上げ、広告としてさまざまな課題解決に取り組んできた。

また一方で、報道番組のコメンテーターなどの仕事も積極的に行い、若手世代の代表としての声を広げている。ここには、広告という分野で社会変革を起こしたいと願う彼女なりの戦略が背後にあるという。

辻:お仕事をご一緒させていただく企業の中にも(企業として社会問題に取り組みたいとする)人々は沢山いらっしゃるんです。でも、その人たちが、アクションできない障壁みたいなものが、企業の中にもあったりするんです。一方で、企業自体がそう思っていても、悪目立ちしてしまわないかとか、良かれと思ってやったのに炎上しないかとか、リスクにならないかとか、株主の人たちに何かネガティブな影響がないかとか、あるいは生活者の人たちにこう何て言われるかとかという怖さがあると思うんです。だからこそ、メディアに出て、そういう発信を普段から生活者側とか社会側とか世論側の中で土壌を作ったり、意志を持ってる企業が動きやすくする土壌を作るという活動も意識を持って行っていますね。

 番組後半では、辻さん自身が伊藤に質問を投げかける場面も。大学在学中から若者世代の代表として広告代理店に入社し、その後独立した辻さんならではの質問が飛び出した。

辻:今、仕事を始めて6〜7年目ぐらい経つんですが、仕事をすればするほど、学んでみたいことがすごく増えてきていて。アカデミア的な領域、特に人文学系や社会学系を大学で受けてみたいと思うようになりました。Joiさんは、色々なお仕事をされてきた中で、学びをどういうふうに捉えてるのか、学問にどう向き合ってるのかをお伺いしたいです。

伊藤:たぶん学び方とか自分のモチベーションの出し方って人それぞれ違うと思います。何かやるためにものを学ぶタイプと、学んでからやるタイプという2種類があって。それぞれ根本的に違っていて、準備が全部できないとやりたくない人たちと、ちょっと失敗してもいいから学びながらっていう、性格の違いもありますよね。僕は、やりながら学ぶタイプなんです。変化が激しいIT業界だとかトレンドとかはこう学び続けるというカタチが多分、今の世の中には合っていて。そして、学んでいるうちに、またこれも学びたいなっていうのが好奇心とか出てくるんです。

辻:大人になってから学び続けられる人ってそんなに多くない気がします。書店でビジネス書コーナーに行くと、なんかこう「上にあがっていくか」ってみたいな本が多かったりするじゃないですか。もうちょっとこう視点を広げたり、好奇心をくすぐられる新しい学びを得るとか、そういう学びが今の大人に少ない気がしています。

伊藤:そうですね。だからこう死ぬ気で学ぶっていうのと、やっぱり競争のために学ぶのと、やっぱり遊び的な学びは違う。遊び的な学びは少なくなっているように思いますね。

 さらに番組では、MITのメディアラボで学部間の障壁を取っ払いプロジェクトを進めた伊藤に、辻さんがアドバイスを求めるシーンもあった。詳しくは番組をお聴きいただきたい。

【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】

 番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけではなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFT会員証をプレゼントします。

https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0

【編集ノート】

伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。

https://joi.ito.com/jp/archives/2022/05/16/005787.html

【新刊発売の予告です!】

6月はじめに、伊藤穰一の新しい本が出ます。
その名も『テクノロジーが予測する未来』。web3、メタバース、NFTはこれからどのように個人や、社会を変えていくのでしょうか? 最先端テクノロジーがもたらす驚きの未来を見通す一冊です。Web書店では予約がスタートしました。お楽しみに。
https://www.amazon.co.jp/dp/4815616469/

JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―

■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」

#29 社会派クリエイティブ・ディレクターの辻愛沙子さんに伺う、広告の視点から見た女性の社会進出のカタチ

https://joi.ito.com/links/

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