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新生アイワ 9月に製品販売開始 ファブレス全盛の時代に「すべて自前」にこだわる 

JENESIS 株式会社代表取締役社長/CEO藤岡淳一氏

JENESIS 株式会社代表取締役社長/CEO藤岡淳一氏

6.5インチAndroidスマートフォン
6.5インチAndroidスマートフォン

「アイワ(aiwa)」の、デジタル分野における商標使用権を取得したJENESIS 株式会社は、8月24日に東京・神田淡路町にあるワテラスコモンホールにて、9月から市場に投入する「aiwaデジタル」シリーズ製品ラインナップを発表した。

 まず、旗艦モデルの10.3インチAndroidタブレット(オープン価格39,800円税込)、エントリーモデルである6.5インチAndroidスマートフォン(オープン価格16,800円税込)、1.8インチのスマートウォッチ(オープン価格5,800円税込)の発売が9月7日より開始される。

 次いで9月下旬には、エントリーモデルの10.1インチAndroidタブレット(オープン価格19,800円税込)、8インチAndroidタブレット(オープン価格16,800円税込)、そして2in 1のWindows11Pro 10.5インチタブレット(オープン価格49,800円税込)のリリースを予定している。

外注に頼らず自社製造サービスを提供

1.8インチのスマートウォッチ
1.8インチのスマートウォッチ

 以前、当媒体記事(『深セン流オープンイノベーションで「aiwa」のバトンを引き継ぐ』)で報じたように、JENESISは中国・深センにおいて開発製造受託を中心に事業を展開してきた。この日、挨拶に立った創業者であり代表取締役社長/CEOの藤岡淳一氏は、これまで500製品以上、累計出荷台数は300万台以上にのぼる製品を作り出したと述べ、「ファブレス全盛期でございますが、私たちはその中でも特に自前へのこだわりで、設計開発、製造、また金型からプラスチック、アフターサービスからサポート、私たちは自前の社員の手でこういった製造活動を行っております。部品1個1個の調達、ネジ1本の間での丁寧な組み立て、ユーザー目線の品質管理、それからアフターサポートサービス、これらを自前の社員を行うことが、私たちのものづくりであると考えております」とJENESISの姿勢を示した。そして、アイワブランドは日本の宝であり、先駆者である先輩方に敬意を払いながら、外注に頼らない自社による製造サービスを提供すると続けた。

エントリーモデルの8インチタブレット
エントリーモデルの8インチタブレット

 法人向けサービスについてもJENESISは、これまでタクシー、飲食店、サイネージ、教育などのBtoB現場に多くの製品を提供してきており、その実績をもとにした付帯サービスを提供すると話した。

 例えば、法人向けのカスタム製造サービス。小ロット生産が得意な同社では、企業の名入れ、独自アプリのプリインストールなどさまざまな要望に応えるとのことだ。また、教育現場などの求めに応じて、3年間の延長保証サービスも提供する。さらに、同社は宮崎県にキッティングサービス(デジタル端末の初期設定やアプリインストール代行)の拠点を持つので、求めに応じて大量の端末導入をサポートできるとも語った。

音響の追求、生活空間との融和

 藤岡氏は「アイワらしさの追求」として3つの方針を掲げた。その1つ目は「音響の追求」だ。ここには並々ならぬ情熱を持っているようだ。藤岡氏は、現在のデジタルデバイスでは音響(サウンド)が犠牲になっていると述べ、その解決のために「Dirac HD Sound」(スウェーデン)の技術を使う。それは、ハードウェアやソフトウェアのチューニングによって、限られた環境の中で、クリアにサウンドを再生する音響補正技術であり、今後の製品に順次実装していく予定とのこと。

ブランドディレクター、アエテ株式会社鈴木健氏
ブランドディレクター、アエテ株式会社鈴木健氏

 さらに、熟練のオーディオ技術者、エンジニアの協力を得るべく動き始めている。JENESISは、デジタルの製品の開発製造を得意としているが、アナログの周辺のノウハウが正直乏しいと藤岡氏は述べ、スピーカーやイヤホンに対してアナログ的なアプローチをしたいと話した。

 2つ目は「生活空間との融和」。すでに、私たちの身の回りにはデジタル製品があふれかえっている。「aiwaデジタル」の製品は生活空間に圧迫感を与えないようなアプローチを目指す。そのためブランドディレクターとして、アエテ株式会社の鈴木健氏を起用することを発表した。この日、壇上に立った鈴木氏は、協力の決め手は「JENESISが自社工場を持っていたこと」とだと述べた。鈴木氏は、かつてデザイナーとして家電メーカーに勤めており、当時は工場の方たちと話すのが当たり前で、それがものづくりの基盤だと会場に説明した。

ベンチャーの魂も引き継ぐ

インスタコード株式会社永田雄一氏
インスタコード株式会社永田雄一氏

 3つ目は「オープンイノベーション」だ。「アイワは、『カセットボーイ』など。非常に斬新な開発能力で世界ブランドまで上り詰めました。ちょっとベンチャー魂のある会社だったのだと思います」その魂を再現すべく、スタートアップと一緒に、オープンイノベーションを進める。

 実は、JENESISは、すでにこれまで30組以上のスタートアップ支援を行ってきた。そのうちの1社に「ほぼ練習なしで弾ける電子楽器」を開発するインスタコード株式会社があり、同社の製品については、今後aiwaデジタルの商品と一緒に販売を行う。さらに、MAMORIO株式会社が開発した「お忘れスマホ自動通知サービス」は、 aiwaデジタルのスマートフォン、タブレットにプリインストールされ、無料で使用可能になる。

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ライター、著者。有限会社ガーデンシティ・プランニング代表取締役。ICT関連から起業、中小企業支援、地方創生などをテーマに執筆活動を展開。著書に「マンガでわかる人工知能 (インプレス)」など。