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AIでドレイクらの声模倣した楽曲、配信大手が削除

カナダ出身のラッパー、ドレイク(2019年6月4日撮影)。(c)Chris Delmas : AFP

カナダ出身のラッパー、ドレイク(2019年6月4日撮影)。(c)Chris Delmas : AFP

【AFP=時事】カナダ出身のアーティスト、ドレイク(Drake)とザ・ウィークエンド(The Weeknd)の声を人工知能(AI)ソフトで模倣した楽曲がストリーミングサービスから削除された。再生回数は数百万回に上り、ユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)は著作権侵害を理由に削除を要請していた。

 ドレイクとザ・ウィークエンドに似た声をAIで作成した楽曲「Heart On My Sleeve」は、今月14日から音楽配信大手スポティファイ(Spotify)やアップルミュージック(Apple Music)などで配信されていた。

 @ghostwriterと名乗る制作者は、2人の声を学習させたソフトを使用したと主張し、「AIでザ・ウィークエンドをフィーチャリングしたドレイクの曲を作った」と投稿していた。さらに、「これは始まりにすぎない」と動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で表明していた。

 UMGは、AIを使用して人気アーティストの楽曲に似せた曲が作られることに懸念を強めている。

 同社はAFPの取材に対し、18日に電子メールで回答し、アーティストの許諾なしにAIに学習させて楽曲を制作するのは「音楽業界のすべての関係者に、歴史のどちら側にいたいのかという問題を提起している」と指摘。「アーティストやファン、人間の創造的な表現の場にとどまる側か、もしくは、ディープフェイク(AIを用いた合成映像技術)や偽物を受け入れ、アーティストに正当な対価を払うのを否定する側かだ」との見解を示した。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、UMGは今年3月、スポティファイやアップルミュージックなどに対し、著作権のある楽曲のメロディーや歌詞を引用するAIサービスを阻止するよう要請していた。

 一方で、音楽のAI使用は業界内でも賛否両論を巻き起こしている。

 フランス人DJのデヴィッド・ゲッタ(David Guetta)は英BBCとのインタビューで、AIをロックやヒップホップなどに音楽的な革命をもたらしたエレキギターやシンセサイザー、ドラムマシン、サンプラーなどになぞらえた。

 最近のライブでも、ラッパーのエミネム(Eminem)風のボーカルをAIで作成した楽曲を披露している。ただし、商業的にリリースすることはないとしている。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件