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ビートルズ「最後の楽曲」、AIで制作 年内リリースへ マッカートニーさん

仏オルリ空港に降り立ったビートルズのポール・マッカートニーさん(中央)、ジョージ・ハリソンさん(右から2人目、1965年6月20日撮影、資料写真)。(c)AFP

仏オルリ空港に降り立ったビートルズのポール・マッカートニーさん(中央)、ジョージ・ハリソンさん(右から2人目、1965年6月20日撮影、資料写真)。(c)AFP

【AFP=時事】英ロックバンド「ビートルズ(The Beatles)」の「最後の楽曲」が人工知能(AI)を用いて制作され、年内にリリースされる。元メンバーのポール・マッカートニー(Paul McCartney)さんが、13日に公開された英BBCのインタビューで明らかにした。

 来週81歳の誕生日を迎えるマッカートニーさんは「ジョン(・レノンさん、John Lennon)が持っていたデモを僕らが作業して、完成させただけなんだ」と語った。

 2人に故ジョージ・ハリソン(George Harrison)さん、リンゴ・スター(Ringo Starr)さんを加えた4人組のビートルズは1970年に解散し、それぞれがソロ活動を開始。

 再結成されることのないまま、レノンさんは1980年、40歳にして米ニューヨークで射殺され、ハリソンさんは2001年に肺がんのため58歳で亡くなった。

 マッカートニーさんは曲名は明かしていないが、BBCはレノンさんが1978年に作曲した「ナウ・アンド・ゼン(Now And Then)」の可能性が高いとしている。

 この曲はレノンさんが死の1年前、マッカートニーさんのために録音したカセットテープに収録されていた数曲の中の一曲で、94年にレノンさんの妻オノ・ヨーコ(Yoko Ono)さんから渡された。マッカートニーさんは以前からこの曲を完成させたいと話していた。

 同じカセットに残されていたうちの2曲、「フリー・アズ・ア・バード(Free As A Bird)」は95年、「リアル・ラヴ(Real Love)」は96年にそれぞれリリースされている。

■AIは「怖いけれど、未来でもある」

 マッカートニーさんはインタビューで、AIが新たなチャンスを与えてくれたと語った。

 今回は2021年に配信されたドキュメンタリーシリーズ「ザ・ビートルズ Get Back(The Beatles: Get Back)」のピーター・ジャクソン(Peter Jackson)監督の協力を得て、AIを活用しレノンさんの声とピアノの音を分けたという。

「機械(AI)に向かって、『これは声だ。こっちはギターだ。ギターをなくせ』と指示するんだ」とマッカートニーさんは説明。

「ジョンが持っていたデモからビートルズ最後の曲を作ろうとしたとき、このAIによって、ジョンの声だけを取り出すことができた」「後はいつもと同じようにミキシングできる。だから一定の自由度はある」

 マッカートニーさんは昨年、英国の野外音楽フェス「グラストンベリー・フェスティバル(Glastonbury Festival)」で約2時間の公演を行い、10万人の聴衆を前にビートルズの名曲の数々を披露した。その中には、ビートルズ最後のアルバム「レット・イット・ビー(Let It Be)」に収録された「アイヴ・ガッタ・フィーリング(I’ve Got a Feeling)」をレノンさんとバーチャルでデュエットする場面もあった。

 音楽におけるAIの利用については、高く評価する意見から著作権侵害を危惧する声まであり、業界内で論争となっている。

 マッカートニーさんはAIについて「ちょっと怖いけれど、未来でもあるからワクワクする」と述べ、こう付け加えた。「それがどこへ続いていくのかは、見守るしかない」 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件