【AFP=時事】実業家イーロン・マスク(Elon Musk)氏の伝記「イーロン・マスク」が12日、世界同時発売(編注※日本語版は13日に文藝春秋社から発売)される。それに先立ち、米国の複数メディアが内容を抜粋し報じた。
執筆したのは、ベストセラーとなったアップル(Apple)創業者の伝記「スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)」を手掛けた評伝作家で、タイム(Time)誌元編集長のウォルター・アイザックソン(Walter Isaacson)氏。
米小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)では、発売数時間前の予約段階から米国内でベストセラーとなった。
マスク氏の生い立ちの大半は既に有名だが、多くの注目を集めているのは、加虐的で支配的な父親エロル・マスク(Errol Musk)氏についてだ。
本書でマスク氏は、破局と復縁を繰り返しているミュージシャンのグライムス(Grimes)さんが「悪魔モード」と呼ぶものに突き動かされ、高い生産性を発揮していると描写されている。
また、自身の手法を疑問視して批判する人々に報復するマスク氏の執念深さについてもたびたび取り上げられている。
昨年のツイッター(Twitter)買収後、マスク氏と側近は、従業員の電子メールやソーシャルメディアを徹底的に調べ上げ、新経営者となった自身を批判していた数十人を直ちに解雇。最終的に、7500人いた従業員の3分の2をくびにした。
マスク氏は、ビル・ゲイツ(Bill Gates)氏がテスラ(Tesla)社の株価下落を狙っているとして、慈善事業を一緒に行うことも拒否した。
さらに本書では、少子化を懸念するマスク氏には、これまで公表されていなかったグライムスさんとの間に生まれていた子ども1人を含め、現在10人の子どもがいると書かれている。
マスク氏は、自身の脳インプラント開発企業ニューラリンク(Neuralink)で幹部を務めているシボン・ジリズ(Shivon Zilis)氏との間でも、精子提供で双子を授かっている。
書評は賛否両論で、米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)はアイザックソン氏について、「エピソードや舞台裏の話の暴露を優先している」と失望を示している。
ジャーナリストのカラ・スウィッシャー(Kara Swisher)氏は、「孤独で賢い息子が、徐々に自分が忌み嫌っている父親そっくりに変貌していく」話だとし、マスク氏は「正しいことも多いが、時に間違いを犯す変わり者」として描かれていると評している。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件
【参考リンク】日本語版は文藝春秋社から発売(Amazonへ)