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データセンター廃熱でプールを加温 環境に優しくコストも節減 英

データセンターの廃熱による温水プール加温システムを説明するディープグリーンのマーク・ビョルンスゴール最高経営責任者(CEO)。英イングランド・エクスマスのエクスマス・レジャーセンターにて(2023年6月13日撮影)。(c)Adrian DENNIS / AFP

データセンターの廃熱による温水プール加温システムを説明するディープグリーンのマーク・ビョルンスゴール最高経営責任者(CEO)。英イングランド・エクスマスのエクスマス・レジャーセンターにて(2023年6月13日撮影)。(c)Adrian DENNIS / AFP

【AFP=時事】英イングランド南西部エクスマス(Exmouth)のレジャーセンターでは、データセンターから出る熱を利用して屋内プールの水を温めている。エネルギーコストと二酸化炭素(CO2)排出量を減らす革新的な方法だ。

 レジャーセンターの敷地内に設置された装置が、コンピューター群が放出する熱を取り込み、25メートルプールを設定温度まで温める。約65%をカバーしており、ガスボイラーの使用は抑えられている。

 プロジェクトを立ち上げたディープグリーン(Deep Green)社は、データセンターの廃熱をプールに無償で提供。コンピューターを稼働させるための電力料金はかかるが、データセンターの顧客からは使用料を得ている。

 エクスマス・レジャーセンターは、この仕組みが最初に試験導入された施設だ。マルク・ビョルンスゴール(Mark Bjornsgaard)最高経営責任者(CEO)はAFPに対し、「共生関係だ。コストをかけないでコンピューターを冷却できる。私たち同様、プール施設も貢献してくれている」と話した。

 ビョルンスゴール氏が食器洗浄機ほどの大きさの白い箱のふたを開けると、鉱物油に漬かったコンピューターが入っていた。油に伝わった熱が熱交換器へ送られ、プールの水を温める。通常のデータセンターは大量の冷却水を使っており、熱の99%は利用されることなく大気に放出されるという。

 同氏によれば、一般的にデータセンターの運営コストの半分はコンピューターの冷却費用が占めている。ディープグリーンのデータセンターは環境に優しい上、冷却コストがかからないため、クラウドの使用料も安くできる。

■「大幅な経費節減」

 エクスマス・レジャーセンターを運営するLEDコミュニティーレジャー(LED Community Leisure)社のピーター・ギルピン(Peter Gilpin)CEOは、昨年、ロシアがウクライナ侵攻を開始したのを受けガス料金が急騰したこともあり、ディープグリーンのシステムの導入は「非常に時宜にかなっていた」と話した。

 同センターでは通常、水道光熱費が全コストの約3分の1を占める。今年3月にディープグリーンのシステムを導入するまでの1年間のガス代は、例年の3倍相当の8万ポンド(約1500万円)近くにまで跳ね上がっていた。

 ギルピン氏は「今年の冬はガス料金の高騰で大きな打撃を受けたが、次の冬は暖房費の大部分をディープグリーンのシステムでカバーしたい」と話した。ガス使用量が既に減っている上、ここ数か月でエネルギー料金も値下がりしたこともあり、「大幅な経費節減」につながっているという。

「エネルギーコストとガス使用量の削減が主な利点だが、CO2排出量も削減できている」

 同氏は、エクスマスの施設がディープグリーンのシステムを初めて導入した施設であることを「誇り」に思っているとし、自社が運営する他のプールでも導入を検討していると語った。

 ビョルンスゴール氏は、需要は拡大する一方で、欧州各地で数千の施設がディープグリーンのシステムの導入を検討していると述べた。特にプールの加温や、地域暖房の熱源供給手段としての導入案が多いという。

 同時に、環境負荷が軽く、一般的なデータセンターよりも安価なディープグリーンのセンターの利用を検討する企業も増えていると指摘する。「プールを温め、運営を続けられるよう手助けしているのだから、私たちは社会貢献もしていることになる」と、ビョルンスゴール氏は話した。 【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件

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