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寿命迎えた太陽光パネル、リサイクルで「都市鉱山」に

米アリゾナ州ユマの太陽光パネル専門のリサイクル会社「ウィー・リサイクル・ソーラー」の工場で、破損した太陽光パネルをリサイクルするアダム・サーイー最高経営責任者(2023年12月6日撮影)。(c)VALERIE MACON / AFP

米アリゾナ州ユマの太陽光パネル専門のリサイクル会社「ウィー・リサイクル・ソーラー」の工場で、破損した太陽光パネルをリサイクルするアダム・サーイー最高経営責任者(2023年12月6日撮影)。(c)VALERIE MACON / AFP

【AFP=時事】地球温暖化を招く化石燃料から再生可能エネルギーへの転換に世界がかじを切る中、古くなった太陽光発電用パネルをどうすべきかという、新たな環境問題が持ち上がっている。

 米国各地では毎日、数千枚の太陽光パネルが新たに設置されている。特に晴れの日が多い西・南部で多く、カリフォルニア州などの州はより環境に優しい発電に力を入れている。

 だがパネルの寿命は約30年で、最初期に設置されたものは役目を終えつつある。これらのパネルがただのごみとして埋められる前に、リサイクル網の拡充が急務となっている。

 アリゾナ州を拠点とする太陽光パネル専門のリサイクル会社「ウィー・リサイクル・ソーラー(We Recycle Solar)」の代表、アダム・サーイー(Adam Saghei)氏は「今後、大量の太陽光パネルがサプライチェーンに戻り始める」と話した。「どの産業でも問題になることだが、循環型経済があまり考慮されていないなかった」「太陽光は持続可能なエネルギーだが、(設備を)使用後にどうするのか考える必要がある」と説明した。

 老朽化したり、設置時やひょうなど自然災害により破損したりした、修理ができないパネルはリサイクルされ、銀や銅、アルミ、ガラス、シリコンが回収される。

 サーイー氏によると、同社のエンジニアらが3年かけて太陽光パネルのリサイクル方法を編み出した。「都市採鉱と呼んでいる」と話した。

 シリコンやガラスは「ゴルフ場のバンカーの砂や、精製してサンドブラストに使うこともできる。屋外用暖炉に敷く石やガラスとして使われることもある」という。

 同社のアリゾナ州ユマ(Yuma)の工場の処理能力は1日7500枚。最終的に廃棄される部分は驚くほど少ない。サーイー氏は「パネルの製造とモデルによるが、最大99%をリサイクルできる」と話した。

■輸送コスト

 持続可能なエネルギーインフラが専門のアリゾナ州立大学(Arizona State University)のメン・タオ(Meng Tao)教授は、太陽光パネルの効率的なリサイクル制度の整備が急務だと指摘した。

 米国も、国連(UN)気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)での「化石燃料からの脱却」に合意しており、太陽光パネルの設置は20年後にピークを迎えるとみられる。

 タオ氏は「ピーク後は、毎年の設置数と廃棄数はほぼ同じになる」との見方をAFPに示した。一方、今後10~20年間は廃棄よりも設置される数の方が多い状態が続くという。タオ氏によると、太陽光パネルのリサイクルは、回収できる資源の価値が比較的低いことに加え、輸送費の高さもネックになっている。

 太陽光パネルは遠隔地の民家などでも広く使われているが、古いパネルをリサイクルセンターまで運ぶだけでも多額の費用が掛かる。

 一部の国や地域と異なり、米国では太陽光パネルの撤去・リサイクルの費用は利用者が負担する。このため、一般家庭では古いパネルをごみとして出す方が安くつく。タオ氏は、パネルのリサイクルにまでかかる総コストを軽減する「法的支援が必要」だと指摘した。【翻訳編集】 AFPBB News|使用条件