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パスワード不要の決済の便利さの裏に潜むリスク 中国

2023年中国国際サービス貿易交易会の首鋼パーク展示エリアで、デジタル人民元を使って商品を購入するために列を作る来場者たち(2023年9月3日撮影、資料写真)。(c)CNS/田雨昊

2023年中国国際サービス貿易交易会の首鋼パーク展示エリアで、デジタル人民元を使って商品を購入するために列を作る来場者たち(2023年9月3日撮影、資料写真)。(c)CNS/田雨昊

【CNS】デジタル時代における科学技術の進歩と生活のペースの加速に伴い、電子商取引(EC)プラットフォームは次々とパスワード不要の決済の機能を導入し、ユーザーに利便性をもたらしている。しかし、その一方で、不正行為者に悪用されるリスクも高まっている。この安全性の問題は、多くの人びとにとって懸念事項となっている。

 パスワード不要の決済機能の安全上の問題は明らかにも関わらず、多くの人びとがこの機能を利用する理由とは何だろうか?記者はさまざまな年齢層の消費者にランダムにインタビューを行った。その結果、若い世代は「便利さ、手間の省略、時間の節約」を重視していることが分かった。一方で、年配の方々の中には、パスワード不要の決済機能の開通方法を全く知らない人もいる。そして、多くの人びとは、自分がパスワード不要の決済機能を利用していることを知らずに利用しており、それを解除する方法についても知らないことがわかった。

 取材によると、モバイルバッテリーのレンタルやシェアサイクルなどのサービスを利用する際、多くの場合パスワード不要の決済がデフォルトで設定されている。さらに、一部のECプラットフォームでは、支払い画面にパスワード不要の決済機能が組み込まれており、他の説明文よりも小さいフォントで「パスワード不要の決済機能を使用しますか?」というオプションが提示され、一部では「デフォルトで使用する」というオプションがあり、消費者が意識せずにこの機能を有効にしてしまう可能性がある。

「パスワード入力を不要にされる」現象は消費者の権利を侵害しているのだろうか?これについて、山東元衡法律事務所の劉坤宝(Liu Kunbao)弁護士は、「中華人民共和国消費者権益保護法」および「中華人民共和国民法典」の関連規定に基づき、事業者が消費者に明確な告知をせず、同意を得ないままパスワード不要の決済機能をデフォルトで使用させる行為は、消費者の知る権利と選択権を侵害することになると述べている。

 劉弁護士は、「プラットフォームや事業者は法規制を遵守し、『パスワード不要の決済』機能の使用条件、リスク、解除方法を消費者に明確に伝え、適切な情報提示を行うべきで、この機能をデフォルトで選択させてはならない」と述べている。さらに、関連部門はプラットフォームの監督・管理を強化し、規定違反に対して迅速かつ効果的な罰則を科すべきだと提案している。消費者に対しては、ロック画面のパスワード設定、アプリのダウンロードや公衆Wi-Fiの使用時の警戒、口座の取引記録定期的なチェック、携帯電話や銀行カードの紛失時の紛失届の提出やパスワードの変更など、セキュリティ対策を講じることを推奨している。【翻訳編集】CNS/AFPBB News|使用条件