【CNS】人工知能 (AI)は読書の世界も変えつつある。1990年代生まれの中国女性である李(Li)さんは、昨年3月から読書にAIを活用している。当時、さまざまな角度からAIの効果を検証した彼女は、著作物の要約とポイント整理、キーワード追加などの機能に感銘を受けたという。
AIは、読書前に本の内容を理解するのに役立つだけではなく、すでに読み終えた本を効率的に要約して分類し、その内容を後から参照するためにキーワードでラベル付けすることもできる。
たとえば、ある内容を思い出して、それがどの本に書かれていたか探し出すこともできる。パーソナライズされた情報管理や、書籍のフィルタリング、おすすめの書籍リストなども提供してくれる。AIは学習効率を大幅に向上させるのだ。
北京発行集団の社外取締役である劉明清(Liu Mingqing)氏は「AI技術の発展により、読書体験がよりスマートでパーソナライズされたものとなり、出版業界や図書館などの分野にも新たな発展の機会がもたらされる」と語る。
AIは、読書中のさまざまな質問にも答えてくれる。背景を説明したり、関連の情報を提供したりして、読者の理解を助けることができる。
また、テキストをより正確に読み上げることができる。視力の弱い人や本を手に持つことができない人に本を読み聞かせたり、運転中や休憩中の人などに手軽なオーディオブックを提供したりすることもできる。
新経典文化社の副社長である黎遥(Li Yao)氏は「AIが読書にもたらした二つの変化は注目に値します。AIは複雑な本をシンプルにしてくれます。難解なことで知られる哲学者カントの文章も、平易な言葉にすばやく変換し、読者の理解を助けることができます。また、知識習得が加速します。たとえば、中国の西晋時代の衣装を研究しようとすれば、多数の関連書籍を読み、それらを習得するのに約10年はかかるでしょう。AIはその時間を大幅に短縮してくれます」と話す。
一方、読書中の自立的な思考がAIに妨げられてしまうという懸念を多くの人びとが抱いている。読者が考えることを怠け、ただ検索して調べるだけになってしまう可能性があるというのだ。あらゆる他の新しい技術と同じように、AIもまた「もろ刃の刃」なのだろう。AIに依存するのではなく、AIを補助ツールとして使用し、自律学習とうまく組み合わせていくことが得策だろう。【翻訳編集】CNS/AFPBB News|使用条件