2025年2月8日、渋谷の街全体を舞台とするテクノロジーとアートの融合イベント「DIG SHIBUYA 2025」のオフィシャルパートナープログラムとして「DIG SHIBUYA DG DRONE SHOW(ディグ シブヤ ディージー ドローン ショー、以下ドローンショー)」が開催され、2,200機のドローンが渋谷上空に壮大なアートを描き出した。
ドローンショーに先立ち、「DIG SHIBUYA 2025」を主催する長谷部健渋谷区長は挨拶に立ち、渋谷区のような都会で、ドローンを飛ばすことはたくさんのハードルがあったが、多くの人の協力でここまでこぎつけられたと感謝を述べた。そして、「楽しんでいただき、この渋谷という街にシティプライドを感じていただけたら」と話し、その後ドローンショーがスタートした。
18時35分、音楽プロデューサーの日向大介氏、ボーカリストのキャリー鈴木氏によるパフォーマンスが始まり、そのサウンドをバックにカラフルなドローン群が上昇を始め、上空に主催社のロゴやイベントタイトルを次々に浮かび上がらせた。
そこからドローン群は変化し、光る渋谷の街並みを夜空に出現させる。さらに描き出された渋谷のビル群が分散して変化して巨大な龍となった。この「墨龍(ぼくりゅう)」は、代表的な日本画作家加山又造氏が、山梨県身延山にある日蓮宗総本山である久遠寺大本堂の天井画として1984年に完成した作品だ。
その墨龍が天に昇るとUFOに姿を変え、そのUFOから未来のデジタルドッグである28代目忠犬ハチ公、通称「デジハチ」が降臨する様子が表現された。デジハチはデジタルクリエイターJames Bigtwin氏によって創り出されたキャラクターだ。
地上の演奏には小室哲哉氏も参加し、「Get Wild」が演奏される中、ドローンショーはクライマックスを迎える。ドローン群はオランダのアーティストVictoria Kovalenchikova氏によるアート作品「Pangaea(パンゲア)」を渋谷の夜空に壮大なスケールで描写した。Pangaea はこのドローンショーのショーコンセプトとなっている。2億年前、一つの巨大な大陸は分かれて5大陸となった。そこに住む人々が再び集まり、共創する街「渋谷」。ドローンが夜空に描き出した地球、移動する大陸、そして“we are one”のメッセージでイベントは終了した。
* * *
ドローンショーを手掛けた株式会社レッドクリフは、2021年創業のスタートアップで、デジタルガレージのアクセラレータプログラム「Open Network Lab」のアルムナイ(卒業)企業でもある。また渋谷区と民間企業によるコンソーシアム「Shibuya Startup Deck」のスタートアップ認定制度「S-Startups」第2期生(2024年)として支援を受けながら全国各地でドローンショーを展開し、地域社会の活性化に貢献してきた実績を持つ。
この日、渋谷上空を彩った2,200機というドローンの数は、2021年に東京で開催された国際的スポーツイベントの開会式で使用された1,824機を超えるものであり、国内で最大級の規模とのことだ。
2千機を超えるドローンが飛び立つ様は圧巻だったが、実は渋谷のような都市部での大規模なドローンショーには多くの課題があり、簡単には実施できない。携帯電話や様々な無線機器の電波が飛び交う中、いかに誤動作を起こさずに編隊を組んで飛び続けるか。さらに飛行規制のほか、天候の影響、バッテリーの持続時間などの問題もある。これまで多くのドローンショーを手掛けてきたレッドクリフは、そういった障害やリスクを回避する経験やノウハウを蓄積してきた。
今回のドローンショーでも直前まで風が強く、ギリギリまで天候調査が続いていたようだが、無事予定通り開催された。
渋谷という発信力の強い街での開催により、今回ドローンショーの魅力がより多くの市民に広まったのではないだろうか。
※株式会社デジタルガレージは、「DIG SHIBUYA(ディグシブヤ)2025」のオフィシャルパートナーであり、「DIG SHIBUYA DG DRONE SHOW」に共催しています。