英ロンドンにあるチャンネル4の本社社屋(2022年4月5日撮影)。(c)JUSTIN TALLIS / AFP
【AFP=時事】英国のテレビチャンネルが20日、人工知能(AI)で生成したプレゼンターを使い、AI技術の影響が拡大していることを示すドキュメンタリー番組を放送した。
チャンネル4は、長年続く時事問題番組『Dispatches(ディスパッチズ)』の最新回でAI生成のプレゼンターを採用。デジタル時代における信頼性と真正性について、幅広い疑問を提起することが狙いだったと説明した。
公共放送でありながら民間資金で運営されているチャンネル4は、この試みが英国のテレビでは初めてのことだと主張した。「AIプレゼンターの使用をチャンネル4で習慣化するつもりはない」と、ニュース・時事部門の責任者、ルイーザ・コンプトン氏は声明で述べた。
コンプトン氏は「ニュースや時事報道において私たちが重視しているのは、プレミアムで、事実確認され、公正中立で、信頼できるジャーナリズムだ。これはAIにはできないことだ」と説明し、「だが、この試みは、AIがどれほど破壊的な可能性を秘めているか、そして視聴者が検証する手段を持たないコンテンツでどれほど簡単に欺かれるかを認識させる有益な例だ」と続けた。
「AIは私の仕事を奪うのか?」と題された『Dispatches』の最新エピソードでは、AIが法律、音楽、ファッション、医療など、さまざまな業界の職場にどのような変化をもたらしているかを調査した。番組全体を通じて登場するプレゼンター、アイシャ・ガバンが完全にAIで生成されたものであることは、番組の最後の瞬間に明かされる。
「皆さんの中には気づいた方もいるかもしれませんが、私は存在しません。このストーリーを現地で報道していたわけではありません。私の画像と声はAIを使って生成されました」と彼女は視聴者に伝えた。職場でのAIツールの役割が拡大していることを強調し、このエピソードでは、英国の経営者の約4分の3が、以前は人間が行っていた業務にAI技術をすでに導入していることを明らかにした。AIホストは数年前から中国や韓国、インド、クウェート、ギリシャなど世界各地のテレビに登場している。【翻訳編集】 AFPBB News