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CES 2019レポート:「曲がるディスプレイ」に熱い視線

LG電子展示エリア入り口の曲面ディスプレイ

LG電子展示エリア入り口の曲面ディスプレイ

 米国ラスベガスで開催されたCES 2019では、「ディスプレイは平面」という既存概念を覆す、柔軟に曲がるディスプレイの展示に注目が集まった。中でも話題をさらったのは、中国Royole社が展示した半分に畳めるタブレット端末の試作機である。7.8インチ型のディスプレイを備え、ディスプレイ部を山折りにして半分にたたむことで、スマートフォンほどの大きさにできる。同社のブースには、この端末をひと目見ようと多数の来場者が押しかけていた。

Royoleの折りたためる端末。手前が開いた状態(画像クリックで拡大)

 Royole社のタブレット端末は、有機ELの一種であるAMOLEDと呼ぶ技術を使った「FlexPai」と呼ぶ自社開発のディスプレイを搭載する。さまざまな携帯端末に広く用いられている液晶ディスプレイは、原理上、LEDなどを使ったバックライトやその光を均一に拡散する導光板が必要になるため、薄型にしづらい。また、多くの場合柔軟性に劣るガラス基板を使う。これに対して、Royale社がPlexPaiに採用した有機ELは素子自体が発光するためバックライトが不要な上、柔軟性に優れたプラスチック基板を利用しやすい。

 今回実演した端末の解像度は1920 x 1440画素。画素ピッチは309ppi(1インチ当たりの画素数)である。折りたたんだ状態では「背表紙」に当たる部分も390 x 1440画素のディスプレイとして機能し、SNSやメールといった各種アプリケーションの通知画面として利用できる。Android 9.0をベースにした「Water OS」と呼ぶOSを採用し、曲がるディスプレイに対応したデバイスドライバを搭載する。端末を手にとって曲げてみたところ、ディスプレイの表示は想像した以上に安定していた。同社は20万回の曲げ伸ばしに耐えることを確認したという。「実際の使用状況で4〜5年は保つ見込み」(Royole社の説明員 デモの動画はこちらから)。

大手メーカーも本腰

 大手メーカーで曲がるディスプレイのアピールに力を入れていたのは、LGエレクトロニクスだった。ブース入り口や天井を曲面で構成し、そこに合計260枚の有機ELディスプレイを貼り付けて一つの映像を映し出すことで、来場者が思わず足を止めるような演出をしていた。

 ブースの最も目立つ場所には、有機ELを使った収納型のディスプレイを展示していた。2019年後半に発売を予定する。このディスプレイは、使用時は65インチ型と大画面だが、使っていないときにはロール状に巻いて、床に置いた本体に自動的に格納する。曲がるディスプレイの特徴を活かした製品企画といえる。製品化に向けては可動部分の信頼性確保が課題になりそうだ。

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