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世界初 海中からスマホで動画送信に成功 青色LED光無線通信技術を用いて

海中でSNSを受信する様子

海中でSNSを受信する様子

海中で動画を撮影する様子
海中で動画撮影(提供:KDDI総合研究所)

 海外では5Gの商用化サービスが始まり、通信はますます高速大容量化するが、これは地上に限った話。スマートフォンが完全防水仕様であっても、水中に潜ってしまえば電波は通じない。5Gになってもこの問題は解決しない。

 水中での通信は、現時点ではケーブルを使った有線通信か音波を利用した音響無線通信だが、音響による通信は容量も速度も桁違いに小さく遅い。

実証実験イメージ図(提供:KDDI総合研究所)
実証実験イメージ図(提供:KDDI総合研究所)

 こうした課題を解決してくれるのが、LEDの可視光を利用した光無線通信技術だ。KDDI総合研究所はこの技術を用いて、海中のスマートフォンから陸上に向けたライブ映像の配信と、陸上から海中のスマートフォンに向けたSNSメッセージ配信することに成功したと発表した。

 10月2日の同社のリリースによると、スマートフォンを海中で光無線ネットワークに接続した実証実験は世界初とのこと。

 可視光による通信は、長い間研究が続けられているが、実用化が現実味を帯びてきたのは、高出力で小型の光源であるLEDが普及したことによる。特に水中では青色の光源が透過性の面で有利であることが多いため、青色LEDの発明は可視光通信の可能性を大きく広げた。

光無線通信装置の間を青色の光線がつないでいるのが見える(提供:KDDI総合研究所)
光無線通信装置の間を青色の光線がつないでいるのが見える(提供:KDDI総合研究所)

 今回の実験では、水深5メートルからの送受信だったが、研究開発が進展することで、通信距離を長くすることは可能だ。水中ドローンの操作やダイバー同士の通信に使うことが想定されるが、将来的には「海中Wi-Fiスポット」の設置も期待できるという。そうなるとスマホを持ってダイビングをし、水中からWi-Fi接続でライブ中継やチャットをすることも可能になるかもしれない。

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朝日新聞社にてデジタルメディア全般を手掛ける。「kotobank.jp」の創設。「asahi.com(現朝日新聞デジタル)」編集長を経て、朝日新聞出版にて「dot.(現AERAdot.)」を立ち上げ、統括。現在は「DG Lab Haus」編集長。