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【JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― Vol.5】開かれた社会への扉となるか?オープンソースを巡る日本や世界の動向とは

伊藤穰一と関浩之氏(右)の対談の様子

伊藤穰一と関浩之氏(右)の対談の様子

 マサチューセッツ工科大学でデジタル技術を主に研究するメディアラボの所長を務め、株式会社デジタルガレージの共同創業者でもある伊藤穰一が、ニッポンのデジタルDXの未来について考えるポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST  ―変革への道― 」。

 今回は、コード・フォー・ジャパン代表理事、関治之氏が登場した。関氏はこれまで、テクノロジーを駆使して、数多くの社会的課題を解決してきた。東日本大震災の被災・支援情報を集約するshinsai.infoや、東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトなさまざまなサービスを提供している。

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関治之(敬称略 以下、関):まず東日本大震災の時に、シビックテックと呼ばれる活動のはしりみたいなのが起きてきました。僕たちは、その地域の人たちが災害の情報を集めて、地図上にマッピングをしていくっていう活動をしていました。インターネットなんで、クラウドソースでいろんな人たちがジョブを入れられる。で、今回コロナが発生した時もたくさんのサポート活動っていうのが生まれていて、例えば東京都が新型コロナ感染症の対策サイトっていうのを作ったんですけど。それを我々コード・フォー・ジャパンがオープンソースで開発させていただいてて。オープンソースで作ったので、いろんな人がサイトの見栄えを良くしたりとか、機能追加したりといった改善を手伝うことができました。そうするとこうサイトがどんどん日に日に勝手に良くなっていく、みたいな。 

伊藤穰一(以下、伊藤):僕も「なんでこのサイトは、こんなに格好いいんだ」と思ったら。「あ、やっぱり!」って思ったんですけど。

 ソースコードを無償で再利用が可能なオープンソースとしたことで、短時間でより効果的なサービスを提供することが可能となったという。2人の議論は「オープンデータ」を巡る国内外の動きについて展開していく。

伊藤:オープンソースと言えば、サイバーセキュリティーの戦略でもこの話題はよく出てるんだけども。オープンソースって、コミュニティがすごく重要だったり、調達の方法やプロジェクトのやり方も全部変わりますよね。それを踏まえた上で、現在の日本ではオープンソースに対する意識はどういった状況なのでしょうか。全部オープンソース化にシフトするのは可能なんですか?

:まず日本がどんな感じかというと、オープンソースに関する認識って日本の国内では10年前ぐらいから変わってないと思うんですね。あんまりそのオープンソースコミュニティーが育っていないですし、企業側もオープンソースはあんまり戦略として取り入れてるようなところは少ないと思います。まあ使ってはいるし、多少コントリビューションもしているけれども、戦略的に『スタンダードを作ろう』とか、自分たちの作ったものをオープンにして『影響力を持とう』みたいなことをやっている企業は少ないというのが、残念ながら現状だと思います。

自治体なんかは特にそうです。政府と地方自治体で、年間11兆円ぐらいですね。そのIT予算支出してるわけですけども、そこの中でオープンソースになってるものも、ほとんどないと思いますし、政府側も別にそれを条件に入れたりしないんで、なかなかそれを『今からオープンソースします』っていうのはかなり時間のかかるチャレンジですね。

 伊藤は、これまでクリエイティブ・コモンズや、オープンソースのwebブラウザであるMozilla、オープンソースを推進する非営利団体オープンソース・イニシアティブ(OSI)などで活動を進めてきた。オープンソース化した社会の実現には並々ならぬ思いがあるようだ。

伊藤:こないだTravis Oliphantっていう「NumPy」を作った人と話しをしたのだけれど、結構みんなそれぞれ、何パーセントをオープンソースにすべきかについての意見がバラバラで。6割なのか7割なのかなどいろいろ意見があったんです。だから全部ではないと思うんだよねだけど、もっともっとなるべきだと思うんですけども。それは同じ意見ですよね?

:同じです。連邦政府とかが数年前に、調達に20%オープンソースにするみたいなことを挙げましたけど。日本もそういうような、その何パーセントぐらいはオープンソースにしようみたいなことはやった方がいいですし。地方自治体は、それぞれスクラッチで作ってるって普通に考えてやっぱり非効率だし、やったほうがいいとはおもうんですよね。

 この話の続きは、JOI ITO’S PODCAST 変革への道でお楽しみいただけます。

【JOI ITO 変革への道 -Opinion Box】

番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけでなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFTをプレゼントすることも予定しています。

https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0

【編集ノート】

Joiからのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちらにまとめてあります。

https://joi.ito.com/jp/archives/2021/11/15/005732.html

JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―

■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」

#5 オープンソースはDX時代への扉となるか?

https://joi.ito.com/links/

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