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【JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― Vol.11】森美術館特別顧問の南條史生さんに聞く、NFTアートは、アート業界に革命を起こすのか?

今回は南條史生氏が運営するYoutubeチャンネル「N&A アートトーク」との特別コラボ企画

今回は南條史生氏が運営するYoutubeチャンネル「N&A アートトーク」との特別コラボ企画

森美術館特別顧問で美術キュレータの南條史生氏
美術キュレーターの南條史生氏

 マサチューセッツ工科大学のメディアラボの元所長で、株式会社デジタルガレージの共同創業者でもある伊藤穰一が、さまざまなゲストを招きデジタル変革について考えていくポッドキャスト「JOI ITO’S PODCAST  ― 変革への道― 」。

 今週は、N&A代表、森美術館特別顧問で、美術キュレーターの南條史生氏が運営するYoutubeチャンネル「N&A アートトーク」との特別コラボ企画が実現。いつもはインタビュワーとして、さまざまなゲストに質問を投げかける立場の伊藤穰一。今回は、クロストークとなり回答者となる場面も。

* * *

南條史生(以下、南條):伊藤さん自身はNFTとどういう風にに関わってらっしゃいますか?

伊藤穰一(以下、伊藤):もともと90年代はデジタルキャッシュの実験に参加したりして、当時はビットコインに似てるような構図を考えたりしてたんですが、実現には至りませんでした。2014年ごろからMITでプロジェクトを立ち上げてビットコインの研究をしました。ビットコインのあとにイーサリアムというのができて、ビットコインの連中はイーサリアムを軽蔑していたところがあったので、溝があったんです。イーサリアムはいろいろプログラミングができるようになっているんですが、ビットコインは安全性を考慮してこれができないようになっている。僕はずっとビットコインに集中してたので、NFTやトークンについては参加していなくて。さらに、中央銀行や政府の仕事をしていたのでコインは持たなかったんです。MITを離れて以降、NFTがどんどん面白くなったのでいじり始めようと思い、ここ1年ぐらいでデジタルスマートコントラクトやNFTをいじったり、NFTを使ったアドバイスをしたり、あとはアーティストの作品を売買したりするようになりました。

南條:伊藤さんはNFTに投資されているんですか?

伊藤穰一
伊藤穰一

伊藤:いわゆる一時的な投資、その金儲けのためにNFTに投資しているかってそれはしてないです。これは自分の学びと実験のためにしていて、そしてあとはAnimocaっていってたぶんNFT業界では、アメリカの外で一番大きい会社があっていろんなOpenSeaなどに投資している会社で、そこの立ち上げに関わっていました。なので、そこの視点からも見たりしています。あとは例えば認証の部分だとか、プラットフォームを運営している会社もお手伝いしたり、あとはこれからNFTをやろうとしている人たちとお話をしています。でもまだ9割はただのお勉強ですね。

南條:じゃあNFTアートについてはどう思われますか?

伊藤:今日来たのは、やっぱりアートの人の意見をちょっと聞きたいと思ったからなんです、今は、どちらかというと、Crypto PunksとかBored Apeみたいなプロファイルピックになるようなアートの方が安定して伸びてるのんです。これは、ゲームの中のアイテムのような感覚で、見栄えとか機能とか、どのぐらいレアものなのかっていう感覚で集めている人が大半なんです。一方で、一点ものアートは、あまり値段がつきづらいんです。一点物のアートがこれからどうなるかっていうのが知りたくて。

南條:そうですよね。ダミアン・ハーストが1万点の版画を1万点刷って出したんですよ、NFTで。で、普通は1万点刷らないわけですよね。だいたい60とか100とか。だけどその前にNFT上のアートの価値はどうやって維持されるのか、という議論をしたときに、中国人のジェシカ・ウォンさんが「その人がそれを信じているコミュニティーの大きさです」とおっしゃったんです。「これは1点しかないから貴重ですっていう、かつての価値観は通用しません。だから1万人に持たせた方が得だと。1万人持ってると1万人の人がこれはいいものだと。で、この価値は上がってほしい、思っている人がいるわけだから、価値が安定する。でも1個だけだったら安定しない」と彼女はおっしゃっていました。逆転してるんですね、今までと考え方が。

伊藤:ブランドに近いのかもしれませんね。時計や車なんかの感覚に近いのかもしれません。あと面白いのは、コミュニティの中身ですね。ブランド側が相応しい人たちに使ってもらいたいけど、ちょっとブランドにマイナスの人たちは使わせたくない、とかっていうのと同じで、アーティストとファンの関係が重要だったりします。コミュニティーの中身と、コミュニティーの人数が関係しています。アートの数が溢れちゃうと価値が下がってしまうし、足りないと誰も持ってないっていう状況になってしまうので。

* * *

 そして、番組では伊藤穰一が南條氏に今後、NFTがアート業界に革命を起こす兆しがあるのかや、今後のアート市場がNFT市場に流れ込む可能性などについて伺う場面もあった。

 この続きは、番組でお楽しみいただきたい。

【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】

番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけでなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFTをプレゼントしています。

https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0

【編集ノート】

伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。

https://joi.ito.com/jp/archives/2021/12/27/005749.html

JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―
JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―

■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」

#11 森美術館特別顧問の南條史生さんに聞く、NFTアートは、アート業界に革命を起こすのか?

https://joi.ito.com/links/

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