NFTアートやDeFiなど、web3の分野でも多くの日本人が活躍している。しかし、日本の税制や法律などは暗号資産に厳しく、やむをえず海外で事業を立ち上げる日本人起業家も少なくない。これに対し、政府与党でもさまざまな検討がなされている。今後日本はどんな方針でweb3時代を乗り切るのか?
今回配信となった「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道― 」では、デジタル庁の初代大臣で、自民党デジタル社会推進本部長を務める平井卓也衆議院議員が出演。ナビゲーターの伊藤穰一は、今後の政策について切り込んだ。
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伊藤穰一(以下、伊藤):平井さんは最近、自民党のデジタル社会推進本部でトップをやられていて、メンバーと一緒にNFTホワイトペーパーを編纂されました。これが、すごくよくて。英語版を皆に配ってるんですが、あれを作ったきっかけやエネルギーはどの辺りから来ているんですか?
平井卓也(以下、平井):去年ぐらいからweb3とかNFTなど、さまざまな話を聞いたり、質問を受けたりする機会があったんですが、私はあまり当時は知らなくて。これは、まずいなと思い、デジタル社会推進本部で今年の1月にチームを作り「みんな、やるぞ」とスタートしました。自民党のデジタル社会推進本部は過去の歴史をさかのぼっても、最先端の事に取り組まなきゃいけないという使命があるんです。そこで、一気にやり始めたら、若い先生方が燃えて。
伊藤:凄いスピードですよね。先日、平将明議員とも話をしたんですが、皆さん普通にNFTについて喋ってて。情報のキャッチアップができていますよね。
平井:色々と情報が集まるようになったんですよね。今日も、web3系の会議の提案があったりと、毎日いろいろとあって、私と平将明議員とで大体引き受けてるんです。そんな意味で特にこっちから何か追い掛けなくても、毎日いろんな情報に触れることができるんですよね。
そして気になるのが、暗号資産に対する政府の姿勢だ。今月5日に岸田首相が英国ロンドンの金融街で講演した際に、web3推進について言及。「テクノロジーの進展に合わない制度や規制は大胆に見直す必要がある。昨年発足したデジタル庁の下、4万以上のアナログな規制を洗い出し、3年間で一気に見直す、大改革を今進めている」と話している。これだけでも朗報ではあるものの、やはり気になるのは「一体いつ規制は変わるのか?」という点だ。
伊藤:みんな「本当にやるの?」と期待値が上がっています。
平井:総理が発言しているわけで。これで新しい資本主義の中に完全にパッケージとして(web3が)入ったので、やるんです。これは。
伊藤:それで、ここからどうなるんですか?各担当分野みたいなところにアイデアが入って、そこから何か法律をつくるプロセスが始まるんですか?
平井:web3に関しては、すぐに法律っていうのは多分ないと思います。まずひとつは、web3に関する情報を一元化して扱えるようにします。現状、どこに相談に行っていいか分からない状態となっており、自民党が一手に引き受けていますが、今後はワンストップで、web3関連の話に関して政府として相談できるようにしたいと思っています。これに関しては、近々また総理のところに行く予定です。
伊藤:法律作りは、まだすぐは始まらないと仰っしゃってましたけども、このPodcastにも起業家たちを呼んでインタビューしてるんですが、既に多くが海外に行ってしまっています。日本で事業ができないためです。やっぱり法律は変えないといけないと思うんです。ホワイトペーパーには、結構細かく書いてると思うんですが、これって間に合うんでしょうか?
平井:ガイドラインの見直しみたいなことを実施することだけでも随分違うと思いますし、税制、例えばガバナンストークンに関する課税なんかは今年、その結論を出すと、そう思います。
番組では、スタートアップに関する法律や定義などの話、さらにはデジタル庁の運営などに関してマスコミの報道に苦言を呈するシーンもあった。詳しくは番組をお聴きいただきたい。
【JOI ITO 変革への道 – Opinion Box】
番組では、リスナーからのお便りを募集しています。番組に対する意見だけではなく、伊藤穰一への質問なども受け付けます。特に番組に貢献したリスナーには番組オリジナルのNFT会員証をプレゼントします。
https://airtable.com/shrKKky5KwIGBoEP0
【編集ノート】
伊藤穰一からのメッセージや、スタッフによる制作レポート、そして番組に登場した難解な単語などはこちら。
https://joi.ito.com/jp/archives/2022/05/30/005792.html
■「JOI ITO’S PODCAST ―変革への道―」
#31 平井卓也・前デジタル相に聞くweb3の規制や税制はいつ緩和されるのか?